東日本大震災 地震便乗詐欺に注意

「募金」の前にまず確認

東日本大震災 地震便乗詐欺に注意 「募金」の前にまず確認

 東日本大震災に“便乗”した詐欺事件が全国で増えている。倒壊した家屋の修繕や募金活動を装い、現金をだまし取ろうとする手口だ。被災した当事者だけでなく、「何かしたい」と考えている被災地以外の人の善意も狙われる恐れがある。せっかくの善意を生かすためにも悪徳業者を見抜く目を養いたい。(道丸摩耶)

修理・リフォーム装い

 国民生活センターによると、東日本大震災以降、同センターや全国の消費生活センターに寄せられた「地震関連」の相談は2518件(3月27日現在)。「灯油が売っていない」(岩手県、40代女性)「断水はいつ復旧するのか」(福島県、40代女性)-といったライフラインについての相談が多いが、被害に便乗した詐欺事件の相談もある。

 「地震で屋根瓦が落ちた。訪ねてきた男性が『補修工事をしてあげる』と言うので、『見積もりを出して』と頼んだら、『それはできない。修理は20万円かかる』と言われた」(茨城県の80代女性)▽「震災後にリフォーム工事の勧誘をされた。『行政から補助金が出る』と言っていたが本当か」(複数件)-など、地震の被害に便乗した悪質な事例が目立つ。

 国民生活センターでは、「大規模な震災の後には、災害に便乗した点検商法やかたり商法が横行する」として注意を呼びかける。

被害に気付かぬ人も

 震災にかこつけて現金をだまし取ろうとする詐欺事件も増えている。

 警察庁によると、3月29日までに全国の警察に寄せられた相談は168件。このうち8割近くが義援金などの名目で現金や貴金属をだまし取るパターンだ。また、避難所からの電話と偽り、現金をだまし取ろうとした振り込め詐欺未遂事件も起きている。

 実際に被害届が出ているのは10件だが、「義援金に応じた人が被害に気が付いていないケースもある」(警察庁)とみられ、実際の被害はもっと広がっている可能性もある。

自分で調べてから

 日本赤十字社を名乗るケースもある。警察庁には、日本赤十字社を名乗り、口座番号だけを違う番号にして現金を振り込ませようとした例が報告されている。こうした有名な団体のサイトにそっくりな別サイトを立ち上げ、義援金を振り込ませるなどの「フィッシング」の被害に遭う危険もある。

 日本赤十字社では、アーティストや企業などが窓口となって義援金を集めるケースも多いが、その際に個人の口座が振込先になることはまれだ。

 その場合でも、「窓口になってくれる人は日本赤十字社に社名使用申請をしている。不審に思った場合は問い合わせてほしい」(日本赤十字社)という。

 もちろん、聞いたことがない団体や個人だからといって、不審とはかぎらない。

 生活総合情報サイト「All About」ボランティアガイドの筑波君枝さんは「支援を募っている団体や個人のサイトで、詳細なプロフィルやこれまでの活動実績、連絡先などが明確にされているかを確認してほしい」とアドバイスする。

 義援金の使途や団体の収支が明らかになっているかどうかなどを調べたうえで、信頼できる団体か見極めるといいようだ

2011年4月4日付 産経新聞東京朝刊


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