川崎病、全国で急増

6年連続1万人超え

川崎病

 乳幼児がかかる原因不明の難病「川崎病」の平成22年の患者数が1万2755人と17年から6年連続で1万人を超え、長期的な流行になっている可能性があることが17日、日本川崎病研究センターの調査で分かった。0~4歳の人口10万人あたりの発病率を示す罹患(りかん)率は239・6人と調査開始以来最高を記録。医療関係者は警戒を強めている。

 全国調査は、昭和45年から2年に1度実施。過去に全国規模の流行があったのは、昭和54年(6867人)▽57年(1万5519人)▽61年(1万2847人)の3回。その後は5千~6千人台で推移していたが、平成10年ごろから増加傾向が顕著になった。

 0~4歳の人口10万人あたりの罹患率は、最も患者数の多かった昭和57年でも196・1人で、昨年の罹患率はこれを大幅に上回っている。

 調査を担当した自治医科大の中村好一教授(疫学)は「過去の3度の流行は短期間に患者数が増えたが、最近はジワジワと増加しており、長期的な流行になっている可能性がある」と分析している。

 これまでの研究では川崎病は日本人や日系人、東洋人に多く、1歳前後を中心とする小児に多いことが分かっている。しかし、原因が未解明のため予防法はなく、治療はそれぞれの症状を鎮めるための対症療法が中心のままだ。

 子供の後天性心疾患では、川崎病が原因のケースが最も多い。川崎病の子供を持つ親の会の浅井満代表(63)は「原因が分かれば、診断も早くなるだろうし、もっと効果の高い治療法も出てくる。早く原因を究明してほしい」と話す。

【用語解説】川崎病

 小児科医の川崎富作氏が昭和42年に報告した原因不明の疾患。全身の血管が炎症を起こし、高熱や発疹といった症状がでる。重症化した場合は心臓の冠動脈瘤(りゅう)などの重い合併症が起こるため、重症化をどう防ぐかが大きな課題となっている。

2011年12月18日 産経新聞 東京朝刊


産経Net View購読申し込みはコチラから

産経新聞

 購読申し込みはコチラから