闇に走る稲妻 海渡る爆発音

【探訪】鹿児島市・桜島

桜島

 ここは日本なのか。自分の目を疑いたくなる光景だった。闇に包まれた午前3時過ぎ。近年、火山活動の活発化が懸念される鹿児島県のシンボル・桜島(鹿児島市)。火口から真っ赤な溶岩が勢いよく飛び出し、黒煙が空高く上がった。「ピカッ」。その瞬間、噴煙から一筋の太い稲妻が山頂に落ちた。

 火山雷(かざんらい)だ。噴火で噴き出した灰や石などが空気中で摩擦を起こし帯電して起きる現象。闇に覆われていた山肌が昼間のように鮮明に映し出された。遅れて聞こえてきたのは「バァーン」という耳をつんざく轟音(ごうおん)。静寂を破った爆発音は、海を渡り霧島・垂水市側の山々にこだまし、鹿児島湾に響き渡った。

 「地球は生きている」と実感させられた。気象庁は噴火の際に振動が感じられる「爆発的噴火」を昨年996回観測。桜島の年間最多記録を3年連続で更新した。が、小規模なものがほとんど。それでも降灰の影響から「体育を校庭ですることはほとんどないです」と、島内に住む中学生、坂口巴香さん(14)は話す。

 鹿児島地方気象台は「地殻変動によってマグマの量が増えれば、大きな噴火が起こる恐れもある」と警戒を強めている。(写真報道局 大里直也)

2012年4月29日 産経新聞 東京朝刊


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