春のにおい対策

入浴や運動で汗かくのが肝心

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 徐々に暖かくなり、日中は汗ばむ気候となった。ただ、春先はまだ汗腺の働きが活発になっていないため、夏や秋と比べ、汗をかいた際、においがしやすいという。入浴や運動などで日頃からしっかり汗をかくことが汗のにおい対策となる。(竹岡伸晃)

 ◆汗腺機能を高める

 「冬の間は汗をあまりかかず、汗腺機能が低下している。そのため、春先にかく汗はにおいが強い」。体臭について詳しい五味クリニック(東京都新宿区)の五味常明院長はこう説明する。

 汗を分泌する汗腺は汗をかくことによって機能が高まる。汗の中にはアンモニアなどのにおいの成分やミネラル成分が含まれるが、汗腺の機能が高いと、それらが再吸収され、水分の多いほぼ無臭の汗になる。

 一方、汗腺機能が低いと、においの成分などが多く含まれるベタベタした濃い汗に。皮膚上の雑菌が繁殖しやすくなり、より一層においが強まる。さらに、「春先は人間関係の変化などにストレスを感じる人が多く、においの強い精神性発汗もしやすい」

 におい対策の基本は汗をかいて汗腺の機能を高めることだ。

 具体的には、ウオーキングやジョギングなどの有酸素運動を毎日20分程度行う▽シャワーではなく、湯船に湯をためて入浴▽入浴前に乾布摩擦で汗腺を刺激▽入浴後は汗を拭き取り、暑い日でもクーラーは使わず自然乾燥させる-など。五味院長は「高温手足浴」と「微温浴」を組み合わせた入浴を汗腺トレーニング法として提案する。しっかり汗をかくことで汗腺は約3週間で活発に働くようになる。運動や入浴でストレスが緩和されれば精神性発汗の対策にもなる。

 ◆気にしない

 食事内容にも気をつける。肉類ばかりだと皮脂や汗の中のアンモニアといった「においの原因」が増えるという。お勧めは海藻やキノコ、緑黄色野菜、魚、乳製品、納豆、果物などを多く食べる和食中心の食生活だ。汗によるにおいだけでなく、加齢臭なども抑えられる。

 体臭は衣類に付着し、濃縮されて周囲に放たれる。「におい対策には衣類の洗濯も有効。汗や皮脂を落とし、常に清潔に保っておきたい」。洗濯時に消臭機能のある洗剤や柔軟剤を使ってもいい。消臭機能を持つ機能性衣類を選んだり、衣料用消臭剤を活用したりするのもお勧めだ。

 一方で、五味院長は「においを気にしないことも重要」と強調する。「汗を止めよう」と考えれば考えるほど精神性発汗が強まることに加え、「体臭があると過剰に思い込んでいるケースも多い」ためだ。ただ、体臭が生活習慣病や肝機能の異常といった病気のサインである場合もあるため、「突然、体臭が強くなったときは早めに病院で受診してほしい」とアドバイスしている。

 ■衣料品に消臭・抗菌機能 洗剤や柔軟剤にも対策商品

 はるやま商事(岡山市北区)が手掛けるスーツ専門店「はるやま」は3月、吸水速乾、接触冷感機能などで人気のワイシャツ「アイシャツ」(5500円)に消臭・抗菌機能を加えた。汗のにおいや加齢臭などに効果のある下着や靴下も1月から販売している。

 青山商事(広島県福山市)が展開する「洋服の青山」でもスーツやシャツ、下着、靴下、靴など消臭機能のある多様な商品を販売。においを吸着・分解する生地を使用したスーツ「マルチダイヤモンド」(4万9900円)、消臭・吸汗速乾機能が特徴の「PGA TOUR」のカジュアルシャツ(4990~5990円)などだ。広報担当者は「消臭機能は周囲へのエチケットとしてニーズが多い」と話す。

 このほか、P&G(神戸市東灘区)の衣料用洗剤「アリエール」や柔軟剤「レノアプラス」、花王(東京都中央区)の衣料用消臭スプレー「リセッシュ」など各社はさまざまな対策商品を出している。

2014年3月29日 産経新聞 東京朝刊


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