春の代表的な味覚、タケノコが旬を迎えている。春らしい香りと歯応えを味わうため、タケノコ料理の基本を聞いた。(村島有紀)
◆シャキシャキ感
タケノコは低カロリーで食物繊維を多く含む。市場に出るのはモウソウチク(孟宗竹)が多く、文部科学省の日本食品標準成分表によると、旬のタケノコは水煮缶詰と比べ、6倍のカリウム、4倍のビタミンB1、2倍のビタミンB2を含む。
「皮付きのタケノコを自宅でゆでて食べられるのは今だけ。毎春、料理が楽しみ」と話すのは、東京都江東区で旬の食材を使った家庭料理教室「ミュールミル・ミト」を主宰する成瀬未音(みと)さん(44)。
ゆで方は、(1)皮を2、3枚はがして先の部分を斜めに切り落とし、中身が傷つかないように縦に切り込みを入れる(2)タケノコがすっぽりと入る程度の水に、ひとつかみの米ぬか(なければ白米)、赤トウガラシ1、2本を入れ、約1時間、弱火から中火でゆでる。その際、タケノコが浮かばないように皿で押さえる(落とし蓋)(3)火を止めて半日から1日程度漬けたまま、あくを抜く。
きれいに皮をむき、水を張った容器に入れて冷蔵庫で保存すると2~3日はもつが、早く食べた方がいい。
タケノコは新しい茎が出る先の部分が軟らかく、根元の部分は固い。成瀬さんは「食感をできるだけ同じにする切り方がシャキシャキを楽しむコツ」とアドバイス。タケノコご飯にするなら、先の部分は三角になるよう繊維に沿って放射状に、根元部分は4等分し、節に沿って薄切りする。
◆産地直送も
おいしいタケノコの見分け方はあるのだろうか? タケノコ発祥の地とされる京都府長岡京市で、京タケノコ専門店を営む小川修司さん(57)によると、「タケノコは鮮度が命」。取れ立てが最もおいしく、日がたつに連れ、えぐみ(苦味)が増す。早春のタケノコはえぐみが強いが、暖かくなるにつれて甘くなる。
国内のタケノコ生産量は、ピーク時の17万トン(昭和50年代)から減少し、最近10年は2万~3万トン台にとどまっている。
小川さんは7軒の生産者でつくる「京たけのこ伝統栽培を守る会」を結成、通信販売で全国に取れ立てのタケノコを直送している。土に肥料やワラを入れたふわふわの土壌で作り、地中にあるうちの軟らかいタケノコを取り出す伝統的な農法を守る。
小川さんは「今年は豊作に当たる年。春の味を味わってほしい」と話している。
【タケノコご飯】《材料・4人分》
ゆでたタケノコ…………200~250グラム
油揚げ……………………1枚
米…………………………2合
A=だし汁(昆布)……400cc
酒……………………大さじ1
塩……………………小さじ1
薄口しょうゆ………少々
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〔1〕米は洗ってざるに上げておく。
〔2〕タケノコを食べやすい大きさに薄切りする。
〔3〕油揚げは熱湯にさっと通して油抜きし、千切りにする。
〔4〕鍋に(1)とAを入れた後、(2)(3)を加えて炊く。(炊飯器の場合は表示に沿ってだし汁の量を調節する)※成瀬さん提供
2014年4月13日 産経新聞 東京朝刊