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平成20(2010)年2月5日[金]

【主張】小沢幹事長不起訴 政治責任を改めて問う 国会は証人喚問で疑惑解明を




 政治のありようを示す言葉に「信なくば立たず」(論語)がある。信頼がなければ政治はやっていけない−という意味だ。

 鳩山政権の最高実力者である小沢一郎民主党幹事長は、現元秘書3人が政治資金規正法違反の罪で起訴された事実に伴う、自らの政治的・道義的責任がいかに大きいかを見据え、出処進退を決めなくてはならない。

 自らが不起訴処分になったとはいえ、国民の「信」を失いつつあることを認識すれば、幹事長続投はありえないだろう。だが、小沢氏は続投を表明した。

 小沢氏は1月25日の記者会見で「もし誤ったことをしたとすれば私の(資金管理団体の)代表者としての責任ももちろんある」と述べている。収支報告書の虚偽記載の監督責任が存在することを認めたものだが、石川知裕容疑者らの起訴で責任は明確になった。

 最低限のけじめもつけようとしないのは情けない。秘書に責任を押し付けて逃げ切ろうとしているようにもみえる。

 小沢氏は国会で自ら進んで疑惑について説明しなければならない。政治倫理審査会での弁明にとどまらず、証人喚問なども必要だろう。今こそ立法府としての自浄能力を、最大限に発揮すべきである。石川被告への辞職勧告決議案は早急に可決すべきだ。

 ≪期待を裏切った検察≫

 検察当局が小沢氏の違法行為を立証できず、「秘書の犯罪」を問うにとどまったのはきわめて残念である。検察が能力を十分に発揮できない以上、国会がその責務を果たさなければ、国民の間の政治不信は極限にまで高まっていくだろう。

 小沢氏の資金管理団体「陸山会」の土地購入資金の虚偽記載に関し、検察はその威信や存在意義をかけて解明に臨んだはずだが、期待とは大きく異なる結果と言わざるを得ない。

 問題は、小沢氏の不起訴が国民や社会に与える負のイメージの大きさである。

 鳩山由紀夫首相の偽装献金事件も、元秘書2人の起訴にとどまり、首相は「何も知らなかった」との主張が受け入れられて不起訴となった。首相は母親から提供された約12億6千万円の資金について、5億円余りの贈与税を支払うことで一件落着になった。

 今回も、権力中枢の人物の違法行為は見逃された格好になった。政治資金の不透明な流れが横行する現状に、歯止めをかけることはできなかった。

 国政のトップに立つものが社会規範を破って省みないようでは、信は成り立たない。納税意識などにも悪影響を与えかねない。国民に広く道徳心を求めることなどもできまい。

 小沢氏はかつて著書「日本改造計画」の中で「政治腐敗防止制度を確立すべきだ」として、違反者の公民権停止や連座制強化の必要性を指摘するとともに、「自分自身を厳しく律する自律・自浄の措置」を訴えた。記述したことと、行ってきたことがまったく違っている。民主党はこうした“豹変(ひょうへん)”に異論も唱えないのか。

 ≪高まる一方の政治不信≫

 小沢氏が問われているのは監督責任だけでなく、自ら代表を務める陸山会をめぐる約24億円の資金移動への関与だ。自民党の谷垣禎一総裁は「限りなくクロに近い」と指摘している。

 陸山会は平成6年以降、東京都内のマンションを中心に18件計10億円以上の不動産を購入していたという。その目的が何か、購入資金の全容がどうなっていたのかなど、石川被告らの起訴後も未解明の点は数多く残っている。

 首相は4日、小沢氏が特捜部の事情聴取に応じ、記者会見を行ってきたとして「説明責任は果たした」と評価したが、見当違いもはなはだしい。

 検察当局としても、今回の虚偽記載の事件で終わりにしてはならない。ゼネコンからの献金の実態をさらに解明し、旧政党を解党した際の資金が小沢氏関連の政治団体に移されていた問題など、不透明な資金の流れを引き続き追う必要がある。

 小沢氏の説明には家族名義の口座の資金を自分のカネと主張するなどずさんな内容もある。不動産購入をめぐる税法上の問題なども指摘されている。

 検察当局はあらゆる法令を駆使し、違法行為の解明を続けることで信頼回復につなげてもらいたい。本紙も、この問題を厳しく追及していく。