








|
. |
|
平成20(2010)年2月6日[土]
■【主張】朝青龍引退 「相撲道」へ仕切り直しを
横綱朝青龍が相撲界を引退した。暴行事件の責任をとった形だが、日本相撲協会理事会にも引退を求める声が強く、事実上の「解雇」に近い。
事件は1月の初場所中に、酒に酔って知人をなぐり、ケガをさせたとされている。事実だとすれば横綱としてとうてい許されない行為である。しかもこれまでにも、たびたび不祥事を起こしており、引退はむしろ当然といえる。
これまで不祥事が起きるたびに対応の鈍さを指摘されてきた相撲協会も、今回は最終局面で横綱に対して毅然(きぜん)とした姿勢で臨んだ。そのことは評価してもいいが、それで、協会側の責任を免れるものではない。
朝青龍はこれまでも、骨折を理由に巡業を休んでいながら母国のモンゴルでサッカーに興じるなどの騒ぎを起こしてきた。さらに土俵上でも不必要なにらみ合いやだめ押しなど、相撲の礼を失する行為を繰り返してきた。
しかし協会はその都度、出場停止や厳重注意など比較的軽い処分ですまし、指導を怠ってきたといっていい。横綱への遠慮があったのかもしれないが、これが土俵の内外での「好き勝手」を許してきたのである。
とりわけ、直接の師匠である高砂親方の責任は重大だ。降格処分もやむを得ない。
大相撲の世界は、囲碁・将棋や落語などと同様に「内弟子」制をとってきた。かつては中学校や小学校を出たばかりの少年が部屋に住み込み、親方や兄弟子から相撲の技術ばかりでなく、人間としての生き方まで学んできた。
そのことで「相撲道」とも言われ、「国技」を自任する日本の伝統文化を育ててきたのである。
だが近年は、高校や大学出、それに外国人の入門者が圧倒的に多くなり、そうした力士教育になじまなくなった。そのうえ、力士を育てるよりも、一門の権益を守る「派閥活動」に専心するような親方が増えるようでは、「第2の朝青龍」が現れる恐れもある。
朝青龍の引退で、興行的に落ち込むことを心配する声もある。しかしここは角界全体が「相撲道」の原点に返り、心技体に優れた魅力ある力士を育てることで乗り切るしかない。
そのために相撲協会も、協会として力士の教育システムを充実させ、外部の声をもっと取り入れるなどの改革も進めるべきだ。
|
|