青いベルベットの豪華なドレスを身にまとった八歳の少女。あどけなさが残る顔だが、すでに強い意思を備え、気高さと威厳ささえ漂わせている。
スペインの画家ディエゴ・ベラスケス(一五九九〜一六六〇)の最晩年の傑作といわれている作品だ。
絵のモデルとなったのはスペイン王フェリペ四世の娘、マルガリータ・マリア・テレサ(一六五一〜一六七三)。幼いころからウィーンのハプスブルク家のレオポルト一世との縁組が進められ、一六六六年に后となった。そのため結婚するまでの間、マドリードの宮廷からは定期的にウィーンの宮廷に王女の肖像画を贈っていた。
この絵はベラスケスが亡くなる一年前に制作したもので、画家が自ら完成させた最後の王女マルガリータの肖像画だという。オーストリアのウィーン美術史美術館の所蔵だが、この美術館にはもう一つこの作品とそっくりな絵がある。顔はほとんど同じだが、衣服や髪飾りなど赤い色彩が強調されている。こちらはベラスケスなのか弟子の手によるものかは定かではない。
いま東京・上野の東京芸大大学美術館で開催されている「ウィーン美術史美術館名品展」(12月23日まで)で「青いドレスのマルガリータ女王」が出品されている。