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 <知を楽しむ人のためのオピニオン誌・「正論」>


 読者の指定席(1) 6月号

反戦平和主義への疑問

大学生・鈴木忠孝(東京都大田区・24歳)

 よく野坂昭如氏や永六輔氏らが、「今の若い人は戦争を知らない。だから戦争の真実を伝えるのがボクらの責務だ」などと称して無責任な反戦平和論を垂れ流しています。

 確かに彼ら昭和ヒトケタ世代は我々戦後世代の知らない「戦時下の苦労」を知っていることは事実であり、そのことに同情するにやぶさかではありません。しかし、彼らが「戦争」の何を「知っている」のでしょうか? 彼らだって終戦時はしょせんただの少年だったはずです。

「戦争をやっている間は空襲がこわかった」とか「生活が貧乏だった」ということを知っているだけで「戦争を知っている」ことになるのでしょうか。太平洋の多くの島々で、我々を守るために戦ってくれた人々が味わった苦しみや哀しみを「知らない」という点では彼らも我々とさほど変わらぬはずです。そして、太平洋に散っていった英霊たちが「何を守るために戦ったのか」ということに思いを致せば、「あの戦争は間違っていた」などと軽々しく口にすることはできないのではありませんか。

 私は老人を敬うべきと考えている人間ですが、みずからの無知・不見識を省みない人間を「トシをとっている」というだけの理由で尊敬することはできません。

新しい国際機構の創設を

元会社役員・平野滋樹(芦屋市・71歳)

 イラクの戦争復興・統治について、米国に対し、今回の武力行使に反対したフランス・ドイツ・ロシアをはじめ、盟友英国からも、国連主導で行うよう要求する声が大きい。我が国も熱心に国連主導を主張する国の一つである。

 そう主張する理由は、各国ともイラクの石油利権を巡っての国益追求の立場からであろう。これに対し英国と我が国は、建前として「国連主導でなければ国民の理解を得られない」との言い分のようである。

 しかしちょっと待ってほしい。同盟国である米国は、全面的に国連主導となることを決して認めないであろうし、また国連主導が我が国の国益に叶うとはどうしても思えないからである。

 なぜなら、第一には多額の戦費と人的犠牲を払った米国が、武力行使に反対したロシア・フランス・ドイツや中国の勝手な言い分についてまで、耳を傾けるとはとても思えない。可能性のないことに、英国はともかくロシアなどの反対国を語らって、同盟国である米国に対し強硬に要求するのはいかがなものか。

 第二には、「国際連合」と訳されてはいるが、United Nationsとは、我が国の立場から意訳すれば、第二次世界大戦の「戦勝国連合」であり、彼らの立場からすれば、我が国は未だに敵国である。五十年も前の戦勝国が牛耳る機関に、我が国の国益を委ねるという外交政策に、我が国の主体性はあるのか。

 翻って、このような国連の経費の約二五%を米国が、約二〇%を我が国が、即ち両国で約半分の四五%を負担しているのである。

 従って我が国としては、この際新しい国際政治機構の創設を米国に働きかけるべきではなかろうか。その方がかつての戦勝国というだけで、満足に金も出さないうえ拒否権という特権により大国のエゴが罷り通る現国連より、余程ましである。

 何しろ我が国憲法は奇特にも「いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国のことを無視してはならない」と謳っているのである。我が国の発言権が大きくなる方が、「諸国民の公正」に寄与することは間違いない。

日本が生存するためには

主婦・富山 妙(伊丹市・35歳)

 私にとって保守思想とは、中西輝政氏が言われるように「日本の生存」である。

 アメリカの同時多発テロ事件以来、一枚岩だった保守思想が俄かに溶解されていくような危機感を感じる。

「反米」こそが日本の伝統を守る全てと勘違いされている高名な学者の論説を読む度に、では、今あなたが享受している豊かさや安全は、何によってもたらされているのか、と問いたい。

 私は、戦後日本の取った選択が全て悪かったとは思っていない。国際社会で生き延びるために、日本人一人一人が豊かになるために、アメリカと連携し協力し合ったことは、正解だと思うし、今後もそうするより道はないだろう。

 もちろん、他国に自国の安全保障を委ねっ切りで、自前の軍隊さえ持てない国のままで良いとは思わない。しかし、普通の国になるための手段として、同盟国のアメリカを切り捨て、自国の伝統・文化だけを頼りとするのは、イスラム原理主義にも通じるものではないか。

 一般的な日本人の願いは、世界の中で協調し、かつ自国が繁栄することであろう。江戸時代の日本のような鎖国主義では決してない。

 戦争は確かにむごいし、一般市民が被害に遭うのは理不尽だとも思う。しかし、日本が生存するために、世界の文明が逆戻りしないためにも、今の戦争を支持するのは、保守思想者として、当然である。



 「正論」平成15年6月号   読者の指定席





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