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 <知を楽しむ人のためのオピニオン誌・「正論」>


 読者の指定席(1) 8月号

またしても「創氏改名問題」とは

松元信之(清瀬市・74歳)

 麻生代議士の創氏改名の大学での講演が、またしても中国、韓国、北朝鮮を刺激し強烈な批判を引き出した。なぜ半世紀前の植民地行政が他の宗主国と違って日本だけが取り上げられるのか理解に苦しむ。彼等は当時の先進国の植民地政策と相対的に考えてくれないのか。

 仏領インドシナ・蘭領インドネシア、アヘン戦争に端を発する香港、上海の各国の租界行政、ソ連の朝鮮半島南下政策などを彼等はなぜ声高に批判しないのか不思議に思う。他国に比較して日本の植民地政策はそれほど苛酷なものだったのか。

 私は一九七五年インドネシアの小都市に行った時、共にテニスに興じた県庁の役人たちから、「日本人は何で謝罪ばかりするのだ。私たちから見れば駐留した日本軍はそれ以前のオランダ軍よりずっと人間的に遇してくれたし、行政措置も地域の発展に寄与してくれた。当時の世界情勢上、日本のとった行動は致し方ない。日本人だけがなぜ卑下するのか」と言われたのを思い出す。

 中・韓・朝の三国は戦時中の日本の植民地政策を極悪非道ときめつけ、事あるごとに日本からの経済協力を引き出す手段に使っているのではと誤解したくなるのは、私ばかりではあるまい。有識者たちに日本の当時の植民地政策と他国のそれと比較検証した歴史的事実を示してもらいたいと思う昨今である。

鴨緑江の水豊ダムと金日成という男

元会社員・長谷弥三男(金沢市・79歳)

 戦前、鴨緑江に東洋一のダムが出来たと聞いていましたが、北朝鮮の電力不足の記事を見るたびに、あの鴨緑江のダムはどうなったのかと思っておりました。

 ところが六月号で「日本が北朝鮮に遺したプロジェクトXの莫大な遺産」の記事の中で、鴨緑江の水豊ダムなど八兆円余りに相当する資産が北朝鮮に残されていて、日朝双方がサンフランシスコ条約の財産請求権を行使した場合、日本が北朝鮮に支払う金額より五、六兆円超過し、北朝鮮側が大幅に不利になるとされるとのことを知り驚きました。外務省はどうしてこのことをもっと国民に知らせないのか不思議でなりません。

 私は戦前に北朝鮮の国家主席、金日成という男に旧満州国で一度だけですが会ったことがあります。昭和十九年に旧制中学校を卒業した私は満州国に一度行きたくて、旧満州国の国家試験を受け、新京高等検察庁に配属され、司法官試補として思想課にいたときのことです。ここは満州国の転覆を企てようとする共産党の取り締まりをするのが主たる業務でしたが、ある日、取り調べに入ってきたのは、菅笠をかぶって手錠のない(思想犯は手錠をかけない)囚人二人で、一方は「金日成」といい、「お金が日に成る」という立派な名前だなと思っていたので覚えていました。

 その後、私はソ連に抑留されて、昭和二十二年十月に舞鶴港に帰国しました。新聞やテレビで見る限り思想犯で取り調べに来ていたあの男に間違いないと思っていますが、どうして彼が終戦後に北朝鮮の主席になったのか、以前に彼の本を調べても分からず、今もそのままでいます。

教師にも天下りがあった

元会社員・高橋正江(川口市・59歳)

 定年退職で法外な退職金を手に入れ、命果てるまで何らの不安もない程に保障されながらも、更なる安心と豊かさを獲得するためだけの場、つまり天下り先での彼らの実態を、ニュースや新聞で知らされる度に、憤りを覚えるのは誰しも同じであろう。

 私は我慢の限界から、社長の社長としてのあるまじき行為を非難したところ、長年勤めた会社を即日解雇となった。権力者というものは自分で掟をつくり、自分で裁くのである。

 それを機に三カ月間の研修と、実技及びペーパーテストに合格して、ヘルパーの資格を取得した。そんなことから福祉の世界へと関心が湧き、幾つかのボランティア活動に参加、そのうちの一つが学校支援であったが、知識として残ったのは教師にも天下りがあり、教育センターという名のもとで、子供たちの指導に当たっているということ。しかも職員である元教師は、子供たちの心の病や、その対応の仕方を知らないというのである。

 同じように所長という肩書を持つ元校長も、子供の心の病理について全く無知であるという。それを知り、私は直ちにメンバーから身を引いたが、高い報酬を手にする者が、無知・無関心で、無償のボランティアが貴重な時間を割いて、真剣に取り組むことに疑問を抱いたからだ。

 ある心理カウンセラーは、これを単なる経済的天下りと言っているが、善意で問題解決の手助けをしようとする者は、彼等にとって至って重宝な存在なのであろう。

ロシアなんて信用出来るか

公務員・北泉貴嗣(つくば市・39歳)

 日本人はどうしてこんなにも「甘ちゃん」なんだろう。「昨日の敵は今日の友」だとか、「水に流す」なんて文化が外交で通用すると本気で思っているのだから本当におめでたい。

 七月号、「希望の星」プロジェクトに水を差すようで申し訳ないが、「たとえロシアに対してどんなことをやってやったとしても北方領土問題は解決しない」ということがなぜ分からないのか。

 ウラジオストクの地名が「東洋を制覇する」という意味であることを、一体、日本人のどれだけの者が理解しているというのか。先の大戦で「火事場泥棒」をやった国はいったいどこだったか。その際にその国の独裁者はこともあろうに「これで日露戦争の敵討ちが出来た」と言っているのだ。

 我が国とロシアとの歴史は「出会った時から敵同士」ではなかったか。「不幸な戦争を経て、冷戦時代も終わりを告げ、民主国家となったロシアと協力し云々」等はいかにも綺麗事ではないか。石油開発に安易に飛びつけば、必ず「煮え湯を飲まされる」ことになる。

 今が弱体化したロシアを揺さぶる絶好の機会である。プロジェクトを計画する際はそれ相応の条件を突き付けてやれば良いのだ。

 私の祖父は、シベリアに抑留され二度と祖国の土を踏むことが出来なかった。友好を論じるなら、まずロシア側が戦前、戦後の一連の不祥事を詫びよ。



 「正論」平成15年8月号   読者の指定席





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