再会
元会社役員・西山 一(福島市・52歳)
平成十二年、私が経営していた建設会社は事実上倒産しました。諸行無常です。学生時代の友人で卒業してから毎年欠かさず年賀状をよこしてくれる友人がいます。私はここ三年、年賀状を書きませんでした。ある事がきっかけで彼は状況を知り私の所まで来てくれました。
その日の出来事です。それは彼からの電話でした。「〇〇です。今日、会える」「えっ! 〇〇かい」。私は驚きました。「新幹線13時59分に乗る」ということで私は駅まで迎えに行きました。改札口で学生時代のことを思い出しながら待っていました。数えてみれば二十九年ぶりの再会です。
新幹線到着……「彼だ!」。乗客の最後に降りてきて私を捜していました。私は高く手を振り合図し彼もまた手を振り返してくれました。「少しも変わっていない」。彼は笑顔で改札口から出てきた時、自然に抱き合い目頭を押さえました。私はそれだけで充分でした。「辛かったろう、でも頑張れ!」という気持ちが伝わってきました。卒業してからの事……時間の経つのも忘れ話し合いました。彼の学生時代と変わらぬ感性を嬉しく思いました。互いに得たものは大と確信しております。
彼は卒業してから苦労して、仕事で成功を収めております。現在私は目標に向かって、まだ志半ばです。この先どうなるかもわかりません。しかし収入不足を補うために意に反することをしていたら、今ごろどうなっていたかわかりません。彼が来てくれたことで、気持ちの整理もできました。友よありがとう。
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犯罪被害者の人権保障へ国民運動を
会社員・浅田大輔(横浜市・27歳)
四月号、沖田様のご投稿に息を呑んだ。頑張って下さい、という言葉では軽すぎる。何と申し上げて良いのか。ただ、これだけは言える。編集部の皆さんも読者の全員も「心が震え」たのだと。ご投稿を通じ私達は何か一つになれたのではないか。少なくとも、いや、決して沖田様は孤独ではない、と。
なぜ犯罪被害者の人権問題が国民的大論争とならないのか。先の衆院選でも争点にすらならなかった。誤解を恐れずに言えば、道路公団改革やイラク復興支援より格段に重要かつ喫緊の課題なのではないのか。
私はまず刑法改正を強く望む。同法の有期刑は最長二十年。制定時の明治人の平均寿命は四十四歳だったが、今や女八十五歳、男七十八歳の時代。寿命は二倍で刑期は不変、ではやはり釈然としないものがある。
また、現在高揚する憲法論議に「犯罪被害者の権利」の視座を求めたい。周知の通り現行憲法には犯罪加害者側の人権保障は規定されているものの被害者側のそれは全く無い。「私人間の人権調整は基本的に憲法になじまず、一般的な法律レベルで解決すべき」などという憲法学界の多数論は国民世論の政治力で転覆させれば良いのだ。自衛権や環境権の条文化よりはるかに意義深いではないか。
さらに国や自治体、地域が犯罪被害者やそのご家族を支援する体制作りが急務だ。沖田様の経験された“セカンド・レイプ”に等しき役所内での盥(たらい)回しなど論外だ。
実りある国民運動になって欲しい。
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成果主義は万能か
自営業・豊田昌靖(神奈川県二宮町・64歳)
賃金体系を年功序列から成果主義へ移行する企業が増えている。能力に応じて昇進し、成果に応じた対価が欲しいものだ−−とサラリーマン時代の若いころ、うぬぼれに基づく不満を抱いていた。それが独立の要因になったのだが、最近考えが変わってきた。
労働の最大の動機は金銭欲であり、利潤獲得を最大目的とする企業が成果主義を採用するのは、理にかなっているが全てではあるまい。発明に対する褒賞を求める訴訟が多発していることからも窺えるように金銭至上主義の一方で、この就職難の時代にせっかく職にありついてもすぐ自分に向かないと言っては退職し、フリーターと称する遊び人になる若者が多い。両者は異なるやに見えて、拝金主義と個人主義と刹那主義の奏でる同じ病巣社会の現象なのである。
社会や将来に希望が持てない、金以外に頼るものが無い、しかし楽に金は儲けさせてくれない。そこでセックスと麻薬に逃げる。
「蛇にピアス」、なぜ芥川賞か分からないが、二十歳女性の作品だけに恐ろしい。成果主義の流行はこの小説の場面を増やしそうだ。
希望、誰かに役立つ喜び、そうした国なり家庭なりの接着剤を政府や企業が競って剥ぎ取っているかに思える。
年金不安の一番の元凶は少子化にある。これに歯止めをかけるのが不安解消と消費人口の増加となって企業業績向上に寄与するのではないか。
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◇おことわり 「読者の指定席」は4月号まで全文を掲載してまいりましたが、5月号から初めの3分の1を掲載することに致しました。全文は本誌をご覧ください。
| 「正論」平成16年5月号 |
論文
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