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 <知を楽しむ人のためのオピニオン誌・「正論」>


6月号



1950年、油彩(福武コレクション)


 巨大な赤い魚が画面いっぱいに描かれている。魚は鯉のぼりで、それを人物が持ち上げている。背後に球乗りをしている人もいる。大胆な構図と全体を覆う赤い色彩が印象的な作品だ。日本で生まれ、アメリカで活躍した国吉康雄の絵だ。

 一八八九年(明治二十二年)、岡山県に生まれ、わずか十七歳にして単身アメリカに渡った。働きながら美術学校で学び、アメリカを代表する画家となり、生涯のほとんどをその地で過ごした。

 戦前はサーカスや酒場で働く哀愁のある女性を暗い色彩で描いていたが、戦後は一転してカラフルに。この作品は一九三一年に日本に一時帰国したときに持ち帰った鯉のぼりをモチーフにしたものだ。米国で活躍していたとはいえ、心の中には日本への思いが強くあったのかもしれない。ちなみにこの絵は一九五〇年にニューヨークのメトロポリタン美術館で開催された「今日のアメリカ絵画展」に出品された。

 一九五三年に亡くなり没後半世紀が過ぎたいま、東京の東京国立近代美術館で五月十六日まで回顧展が開かれている。

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 「正論」平成16年6月号




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