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 <知を楽しむ人のためのオピニオン誌・「正論」>



今月のメッセージ(第100回)(平成16年12月25日)



お元気ですか。

 初めてハワイへ行ってきました。このトシになるまで、まだハワイも知らなかったことを白状するのは、いささか気恥ずかしい面もあります。もっとも新潟県に生まれながら、いまだに佐渡を知りません。四国も、沖縄もまだ機会がありません。あそこもないし、ここもない。日本列島、未踏の地だらけで数え上げていったら切りがないので、ハワイに戻ります。

 おそらく高校生のときでしょう。ハワイを舞台にした洋画を見ました。ハリウッド映画のはずです。ストーリーはすっかり忘れましたが、ワイキキの浜辺だけは覚えています。

♪晴れた空…で始まる「憧れのハワイアン航路」という歌も若い頃に流行っていました。同僚がこの歌を十八番(おはこ)にしていまして、踊りながら歌うので座が盛り上がります。この歌のほうも映画になって、その邦画も見たような記憶がおぼろにあるのですが、はっきりしません。「ハワイアン航路」から連想するのもワイキキです。

 ハワイと聞いて浮かぶのは、あとレイですね。レイというのは、原住民(カナカ族)の言葉だそうで、いうまでもありませんが、花輪のことですね。大切なお客さんを出迎えるとき、客人のくびにレイをかけるというのはこころのこもった、最高のもてなしだったようです。

 洋画だったか、邦画だったか、ハワイに降り立った男どもに美女軍団がレイをかけたうえ、ほっぺたにチュッと接吻するシーンがありました。これはもうよき風習の名残というより観光用のビジネスで、あとから島にやってきた悪知恵の働く人間どもが教えたのでしょう。聞いた話ですが、いまでもお金を出すと、お嬢さんがにこやかにレイをかけてくれるそうです。

 ホノルル国際空港の売店には色とりどりのレイが売っていました。帰国するとき、売店のレイに気づきました。到着したときは、お嬢さんの出迎えどころか、売店もひらいていなかったのです。

 成田を夜八時過ぎに発って、日付変更線を飛び越えて、現地時間の朝六時にホノルルに着きました。六時間もかかっていません(ところが帰りは九時間近くかかりました。気流の関係でしょう)。朝食をとって午前八時からはスケジュールにしたがって行動開始です。久しぶりに時間を有効に使いましたが、夕方にはさすがにヘトヘトでした。

 その間、ずっと気になっていたのはワイキキの浜。この日はあのパールハーバー周辺を駆け巡っていたので、訪れるチャンスはありませんでした。仕事を終えたあとは、四人連れ立ってファミリーレストランと居酒屋の中間のような店で夕食をとりました。メニューには「HIYAYAKKO(冷奴)」も「YAKISOBA(焼きそば)」もありました。一隅でカラオケに興じるグループもありました。ああ、日本で誕生したカラオケは世界中ですっかり定着したのだと、いささか感慨深い気持ちになりました(ご存じのようにカラオケという言葉自体、すでに世界の共通語です)。

 翌日の夕刻、念願のワイキキを見ることができました。空は南仏ニースのコバルトブルーに軍配をあげたいと思います。しかし、砂浜はワイキキです。ニースの浜辺にがっかりした話は、このメッセージのどこかで書きました。そのくだりをご覧になっていない方のために繰り返しますと、ニースでは石っころだらけの砂浜ならぬ“石浜”にお尻が痛くなったのです。

 夜になっても海水浴をたのしむ人たちがいました。水温があまり落ちないようです。やはり日本人のカップルが目につきます。あるホテルでは日本の若い女性がとりとめのない話になってしまいました。一体、師走のあわただしいときに、なんでハワイへ行ったのか、と思われるかもしれません。ホノルル出張の目的は、米国海軍の太平洋艦隊司令官(海軍大将)にインタビューすることでした。太平洋艦隊の司令部はパールハーバーの近くにありました。かの第七艦隊もこの司令部の指揮下にあります。詳しくは本誌二月号の会見記をお読み下さい。

「正論」編集長 大島信三

 「正論」平成17年2月号 編集長メッセージ



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