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 <知を楽しむ人のためのオピニオン誌・「正論」>



3月号



未来に残る復興支援を
会社員・藪本茂則(埼玉県入間市・50歳)

 犠牲者が二十万人に上ると報じられるインドネシア・スマトラ島沖地震。予期せぬ自然災害に対する人間の無力さを痛感したが、情けないのが、その後、現地から次々と伝えられる報道だ。全力をあげての復旧が伝えられる中で、親を失った子供たちがどこかへ連れ去られたり、追悼集会に爆発物が投げこまれたり…。人間が人間として弱者にここまでできるものかと言葉を失ってしまう。  日本は、先進国中最大規模の支援をいち早く申し出たという。政府の素早い対応は、大いに評価されるべきものだろう。ただ金額だけでなく、その内容についても検討してもらいたい。一言でいえば、未来に残る復興支援である。例えば阪神大震災等の事例を生かした仮設住宅の供給。現地ですぐ組み立てられるよう、ブロック形式にして一気に運ぶ。石油会社、海運会社の協力の下、大型タンカーを使うのも一案。また業績絶好調の自動車各社に協賛してもらい公的機関への車両提供など、やれることはいくつもあると思う。  最後に農学部出身の私としてぜひ提案したいのが、津波の衝撃をおさえ、地球温暖化の防止にも一役かうグリーンベルトの設置と育成(ヤシなどの樹木の植樹)。植物はすぐには、大きくならないだろうが、正に未来に残る復興支援だ。官民一体となり、地震先進国のノウハウ、日本人の英知をしぼって支援する時だと思う。

納得できぬ朝日の筆法
元国家公務員・石原 豊(埼玉県桶川市・77歳)

「立川自衛隊監視テント村」の自衛隊派遣反対のビラ配布問題に関する東京地裁八王子支部の判決も、十二月十七日の朝日新聞社説「郵便受けの民主主義」も、もっともなご意見であるが何となく釈然としないものがあった。ビラを配る側については憲法を引用してこれを擁護し、朝日の社説もこれを支持している。はたしてそうなのか。テント村の集団がイラクへの自衛隊派遣に反対ならば、派遣を決めた政府に抗議をするのが筋である。立川自衛隊を監視してどんな効果があるというのだろう。そこには、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の感情しか感じられない。単なる嫌がらせではないのか。それとも、社会正義を標榜する自分たちの存在をアピールするための行動なのであろうか。だとすると、その対象を最も弱い自衛隊の家族に向けるのは、宣伝のためには手段を選ばないという卑劣な行為なのではないか。

 テント村の集団に憲法二一条の政治的表現活動の自由があるならば、自衛隊員の家族にも憲法一一条、一三条、一四条前段により人間としての尊厳が保障されてもいいのではないか。自分の夫を父を、好むと好まざるとにかかわらず、イラクに送らなければならない悲劇を噛み締めているのに、その背後で石を投げる奴がいる。それには何の抵抗も抗議もできないばかりか、裁判所も新聞も石を投げた奴の行為を正当としている。警察の捜査に行き過ぎがあったとしても、自衛隊員の家族の心情を考えると察するにあまりある。

 自衛隊員の家族の心情に思いをいたしたのか、それとも読者の抗議があったのか、朝日は十二月二十九日付社説においてやや調子を和らげ、「配る作法、受ける度量」と問題を一般論にすり替え、配り方に節度を求めている。配るほうに節度があれば、受ける方に何の度量の必要があるのであろうか。何とも朝日らしい筆法である。

歴史に埋没した事実
会社員・高尾和摩(東京都大田区・27歳)

 昨年十二月二十二日、直木賞作品、「機雷」で知られる光岡明氏が亡くなられた。大東亜戦争中に機雷敷設に従事し、戦後は米軍投下機雷除去に従事した一海軍士官を描いた作品なのだが、海軍史の中でも光を浴びることの少ない部分を世に引っ張り出した功績は大と思われる。

 私は暇をみて、旧海軍についてあれこれ調べているが、終戦以来六十年を迎えんとする中、華々しい表舞台を物語る書籍はごまんと出ても、その一握りの表舞台を支えた陰の部分を語るものは少ないことに気付く。商売的に売れないからという理由が主だろうし、読者も興味を示さないのだろう。

 原爆やソ連参戦がなくても、海上封鎖だけで早晩、我が国は降伏を余儀なくされたことは、当時の資料から明白であったが、今日に至っても広く知られているかどうか。機雷敷設も含め、後手後手になった海上護衛活動。中古の自衛艦艇をマレーシアやインドネシアに売却する動きがあるらしいが、戦中の苦い教訓を思えば真剣に考える必要ありと思う。黙々と働いて、後世知られることなく終わり、その教訓が生かされぬのは愚かだ。

 埋没した歴史の中から見つけ出す事実と教訓。これは意外に役立つと思うのだが。その存在の一つを世に広めた人物の他界。惜しむとともにそれを引き継がねばと思う。

 「正論」平成17年3月号   論文



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