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 <知を楽しむ人のためのオピニオン誌・「正論」>



6月号



世界に向かって発言を
元会社役員・やまだひろし(名古屋市・65歳)

 今回の中国における「反日デモ」について、中国側は「歴史問題での日本の誤った態度に原因がある」という。これにたいして小泉首相は「安全を確保するのは中国側に責任がある。この点をよく自覚して頂かないと」と述べ、町村外相も「中国の努力で克服してほしい」と述べるにとどまっている。

 確かにそうではあるが、中国が言う「日本の誤った態度」については何もふれてはいない。マスメディアを通じてそのまま繰り返し全世界へ報道されていることを考えると、これでは、何も知らない外国の人たちは「そうか、日本が歴史問題で誤った態度をとっているのが原因なのか」と理解してしまうのではないだろうか。

 中国がいう「歴史問題での日本の誤った態度」に対して、日本の考え方をどうして言わないのだろうか。中国が日本の考えを受け入れることは決してないけれど、いつも「遺憾です」「時間をかけて話し合いをしていきます」といっている限り、日本の考えは世界の国々に伝わらず理解されないのではないか。中国は、日本に対してというよりは、世界に向かって中国の主張を訴え続け、国際世論づくりをしているのではないだろうか(最近韓国の大統領が、外国へ行っては日本の悪口を言っているのも同じであろう)。

 したがって、日本も世界に向かって、日本の考え方を大きな声で繰り返し繰り返し説明し、国際世論をつくっていくことが重要であると思う。

呻吟世代の主張
地方公務員・伊藤和男(徳島市・38歳)

 何清漣氏の『中国の嘘』や古森義久氏の著作を読むと、中国政府がメディア・コントロールや反日教育に血道をあげ、国民の思想統制に躍起になっているのが分かる。何とかの一つ覚えで中国は「日本が中国人民を傷つけた」と言うが、それは中国共産党が日本の歴史や靖國神社を、マスコミと教育で散々悪魔化した結果である。このカラクリを知りつつ、「中国の嘘」をそのまま垂れ流し、これを客観報道だと称する日本の一部マスコミの低劣さはひどい。客観報道がお気に入りなら、突っ込み所満載の中国トンデモ歴史教科書や、対日巨大核戦力についても客観的に報道すればよい。

 中国共産党一党独裁が終わらないなら、真の日中友好はない、というのが、厳しい現実だろう。卑屈な対中外交は共産中国の延命を助け、結局は日中友好を遠ざける。外交に限らず遠大性を欠くのが日本の弱点だ。おもねりで得た一時の友好もどきに何の価値があろう。

 一方韓国はどうか。教育やマスコミが反日を旨とするのは中国と一緒だ。さすがは小中華。こんなところも真似るんですね。特に何でも半島から日本に伝えてやった式の、この国の夜郎自大は病理現象に近い。こういう韓国に迎合していると、日韓友好に有害な侮日歴史観が肥え太るばかり。日本は目先の対立を恐れず自らの歴史観を守るべきだ。それで壊れる友好なら本当の友好ではなかったのだから、壊れるに任せればよろしい。

 真の日中・日韓友好は、我々の世代では無理かもしれない。現世代は友好実現前の、いちばん呻吟を要する損な役回りかもしれない。でも、いいではないか。後の世代から「あの時代の日本人が日本を貶める安易な妥協をしなかったおかげで、今の立派な日本がある」と感謝してもらえれば。国家は悠久の命をもつが故に、現世代はより良い日本を後代に相続させねばならない。我々には呻吟の甲斐も義務もあるのだ。

防衛大学校卒業式に想う
大学生・穴澤修平(東京都小平市・22歳)

「四十九期解散、わかれ!」との学生隊学生長の号令に、歓喜の声と共に宙に舞う学制帽。毎年三月のニュースを飾る防衛大学校卒業式の模様である。聞けば先日卒業の四十九期は中途退校者数が過去最多ということで、「元」同期の晴れ舞台をテレビで見届ける私には複雑な想いがあった。

 私の祖父は軍人として戦場を経験しており、古びた弾痕つきの水筒を取り出しては苛烈な戦争体験を語ってくれた。祖父は私が小学生のころに亡くなり、その十年ほど後に私が防大に入ったのはそんな祖父の影響もあったのかもしれない。しかし意識していた直接の理由は、高校生だてらに東アジアの不穏な情勢に危機感を感じていたことにある。不審船騒動が持ちきりであったころのこと、海上保安庁も併願していたといえば危機感の内容はだいたい察していただけるものと思う。

 しかしいざ防大に入校してみると自身の要領の悪さに失望し、数か月で退校してしまった。従軍経験のある方々からすればわがままさにあきれ返る話であろう。家路の新幹線の中で、挫折感にむせび泣いたことは今でもよく覚えている。

 退校の際に印象的だったのは、学生を含めた防大(自衛隊)の人間が、去るものに決して冷淡ではなかったことだ。「君のように身をもって自衛隊を知った若者が民間にいてくれることは、我々にとって心強いことだ」という上級幹部自衛官の激励は、今でも私の大きな支えの一つだ。入りなおした大学も卒業を意識する時期になった。防大四十九期の解散と共に私も中退の挫折を乗り越え、日本の未来に貢献できる生き方を必死に探っているところである。

基地に対する誤認
大学生・當麻直紀(埼玉県所沢市・19歳)

 現在は左翼勢力も下火になってきたが、いまだに左翼勢力の裏返しとも言える反米勢力の喧伝によって、在日米軍基地に対する理不尽な非難が多いように思える。

 最初に、有事でもないのに戦闘機の離発着訓練が頻繁に行われているのはおかしいという主張がある。騒音に悩まされている点には同情する。だが、有事の際は最大限に行動できることが要求されており、そのための即応性も必要である。その即応性を維持するためには、絶え間ない訓練が欠かせないのだ。

 米軍兵士による暴行事件なども、過剰に話題視する傾向がある。その事件自体に関しては、被害者に同情する。ただ、それをプロパガンダ的に使うのは問題ではないか。メディアなどが注目するのは、暴行犯が米軍兵士であったという点である。「犬が人にかみついてもニュースにならないが、人が犬にかみつけばニュースになる」という言葉の実例であろう。関連して、その犯人を日本で裁けないのはおかしいという主張も見受けられる。軍人であるので軍法会議で裁かれる。アメリカの軍法で裁かれるわけだが、軍法は軍規をただすため一般刑法より罪が重い。軍法会議で甘い判決を出すのではないかと考えている人もいるようだが、そんなことをしては国際関係上よくないので、容赦はしないのだ。

 このようにミクロに考えただけでも、反米勢力の主張がおかしいことが理解できる。

 「正論」平成17年6月号   論文



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