
4月の入賞者
産経新聞6月14日付朝刊掲載
オピニオンプラザ・わたしの正論
今回のテーマ「犯罪者情報は開示すべきか」に63編(うち女性8編)の応募があり、厳正な審査の結果、入選のほか、次の3人の方が佳作に決まりました。(敬称略)
《入選》
井川悦子 35歳(大阪市・主婦)
沼崎雅之 22歳(東京都・大学院生)
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《佳作》
James 加藤 26歳(東京都 大学院生)
熊谷 浩 37歳(東京都 会社員)
村松 孝徳 61歳(東京都 無職)
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【論文を審査して】多かった慎重論
土本武司
再犯のおそれのある刑余者に対する処遇方法として次の二つがある。一は帰住先住民は再犯によるリスクを負いつつ、犯罪者に関する情報の開示を受けることによって自己防衛を図ること(アメリカ型)、二は再犯の可能性がある以上矯正するまで社会復帰させず、保安処分として治療処分を継続すること(ドイツ型)である。わが国ではそのいずれもとっておらず刑期が満了すれば釈放するのみであって、社会防衛の見地からは脆弱である。そのいずれをとるにせよ、立法によらなければならず、現在議論されている出所情報提供は現行法、とりわけ個人情報保護法の範囲内での対応−法務省(刑務所)から警察への通報−に止まり、住民一般への情報開示を実施しようとするものではない。
本テーマは前者の方式をとることの可否を問うものであるが、消極説ないし慎重論が多かった。その原因について、村松論文は日本人の自助意識の希薄さにあると鋭く指摘した(但し刑法三九条の解釈については誤解がある)。沼崎論文は開示の長・短所につきバランスのとれた論稿で、入選作とすることに選者全員の一致を見た。井川論文は問題点が良く整理された秀作。反対論をとる加藤論文はその論拠が秀れており、熊谷論文は足が地についた論述として好感が持てた。
なおこの問題は、仮出獄者・執行猶予者についても検討する必要があろう。(白鴎大学法科大学院教授)
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