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 <知を楽しむ人のためのオピニオン誌・「正論」>



9月号



靖国神社を思う
元警視・栄田力造(神戸市・80歳)

 靖国神社をそっと静かにしておいて欲しい、政争の具にしないで欲しい、英霊の最後の安らぎの靖国の社で、波風を立てないで欲しい。兄二人もここで眠っているのだから。

 世界百九十一カ国中、中国と朝鮮のみが何と言おうと、首相は静かに参拝を続けて欲しい。中国などの圧力に屈し、靖国参拝を止めれば、国交が正常化されると思っているのか。中国の本音は、日米離間、天皇制打倒、属国化、中国共産党日本支部の支配である。これが完了するまでは、決して止めることのない戦略である。一方韓国は、南北統一は口先だけで推進はしない。もし統一すれば極貧国へ転落し、現在の富は一夜にして北へ吸い込まれてしまう。その時間稼ぎにここ二、三十年間は、日本とのギクシャクした関係を続け、国民の不満を日本に向けさせるだろう。

 中国要人は日本は二十年で無くなると放言したが、その中国は、北京オリンピック、上海万博後、貧富の差を目の当たりにした人民の不満のハケ口をどこへ向けさせるのか。尖閣諸島占領か台湾海峡戦争か。そのとき日本はどうする。平和ボケし、国の為亡くなった方を国が祀らずにいたツケが、必ずやってくる。

 靖国神社は古今東西唯一である。これに代わるものは無い。もし、これを無視すれば、国及び国民に対し、護国の鬼と化した幾百万の英霊の怒りの神罰が降るであろう。国のため命を捧げた方を国が祀らずして、何が国家と言えようか。

千人針と国旗掲揚
農業・白土幸夫(茨城県那珂市・81歳)

 総理の靖国神社参拝をめぐる論議の中で、与党の有力議員の中国に迎合するがごとき言動が見られた。この方たちは、靖国の本質をどう考えているのだろうか。私は陸軍最後の現役兵として昭和十九年秋、中国河北省にわたり、翌年旧満洲国に移駐。終戦、シベリア抑留満二ケ年を経て帰国した。私のような境遇にあったものにとって、靖国神社は身近な存在である。また私の先祖は旧水戸藩の支配のもとにあった。幕末、水戸藩は勤皇佐幕両派による骨肉の争い、いわゆる天狗党の乱が起きた。首領武田耕雲斎を含む三百五十余名が、無惨な刑死となったが、明治二十二年名誉回復となり靖国神社に合祀された。天狗党のことは亡母よりきかされた。

 さて私達と一緒にシベリアにわたり亡くなった方は、全員靖国に合祀されたのだろうか。戦闘中でないので気にしている。靖国とは平和のための礎となった方々の唯一の鎮魂の場であり、民族の遺産として国民ひとしく守ってゆくべきところと思う。戦後は歴史喪失の時代となり、国歌国旗軽視の世相があのような国会議員の言動を許す遠因となっていると思う。

 私はこのような風潮に背をむけるわけではないが、十余年、次のようなことを続けている。それは従軍中身につけていた千人針をロシア兵の目をかすめ密かに持ち帰り、自宅に掲げ、祝祭日には千人針からよく見える屋外に国旗を掲げる。私は千人針の虎に言う。シベリアに墓参にゆき日の丸の旗を見せてこい、と。これで何か心安らぐのである。私は八十歳をすぎたが、これだけは続けてゆきたい。千人針のことは子にも孫にも何も言ってない。ただし、私は死んで粗末にされると一針一針糸をつけた方に申し訳ないので、私が死んだら千人針は私と一緒に火葬にしてくれと老妻に話をしてあるが、未だ返事はない。

法科大学院の偏向
学生・安藤 俊(福岡市・23歳)

 司法界に優秀な人材を送り込むことを目的に、法科大学院制度が現実のものになって二年。しかし、この大学院の存在が日本にとって新たな脅威となるかもしれません。先日、私はある法科大学院で開講されている政治学の講義に参加しました。その日の講義では、日本とドイツの戦後賠償が話題となったので、私は(1)ドイツが謝罪したのはユダヤ人の大量虐殺についてであり、日本のような戦争行為については謝罪していないこと(2)植民地統治や戦争犯罪は、連合国側にも当てはまることであるが、それらの国々が謝罪や賠償をしたとは聞いたことがないこと(3)韓国を例にとっても、日本は真摯な謝罪と補償をすましていること−を発表しました。私としては、歴然たる事実を述べただけなのですが、教授はこれが気に入らなかったのか、私を「勉強不足」と断じた上で、「ドイツは約十兆円を西欧諸国に賠償として支払うことになっている」「中国は日本が残した化学兵器で今も苦しんでいるにもかかわらず、日本の賠償責任を免じてくれた心の広い国」などと、出所不明のデータと思い込みで反論し、極めつけは、「東京大空襲や原爆投下の責任を追及したいのなら、こんな所でグチグチ文句を言っていないで、君が裁判を起こせ」と、法学教授とは思えぬ暴言。この教授、人格的には優れた方なのですが、声を震わして事実をねじ曲げる姿は、とてもまともな教育者の姿ではありませんでした。

 このような偏向に満ちた講義を受けた学生が、将来、司法界の中核になるのかと思うと恐ろしく感じます。

民間から内閣報道官を
技術者・田中良治(京都府宇治市・55歳)

 お人好しの国ニッポン、平和ボケのニッポン。韓国、中国、北朝鮮などとの様々な外交的出来事を見るにつけ、つくづくそう思う。愛国心の希薄な国会議員たちは、わが国と相手国の中に立つ仲裁者とでも思っているのだろうか。いっそのこと、中国の孔泉報道官を輸入できないかと思っている。自国側の主張のみを滔々と並べ立て、不都合なことには答えない、あの傲慢な態度。彼をニッポンの内閣報道官にできれば、我々国民の鬱屈した欲求不満も少しは和らぐのではないか。

 今の内閣官房長官の職務は報道官だけではないが、国民には報道官、それも歯切れの悪い、誰に対して発信しているのか分からない頼りないものに見える。これは官房長官に限らず、閣僚が韓国や中国の意に沿わない発言をするたびに“おなじみの妄言コール”に晒され、辞職を強要され、誰もそれを守ってやらないことの繰り返しだったせいなのか。このような怠慢によって、結果的に第三者的立場の世界各国からも日本と韓国、日本と中国の双方が宜しくない、などという誤解を定着させてしまうのだ。

 そこで、議員でない内閣報道官制度を作り、世界に向けて歯切れよく政策や出来事について発言させるのだ。当然、相手国からの“妄言だ発言”が飛んできたら、根気よく紳士的にエビデンスに基づいてお相手仕る。報道官は一人でなく複数とし、日本の歴史だけでなく、世界史、国際法、宗教、民族その他様々な問題に造詣が深い専門家で、なおかつディベートに長けた人物を民間から起用する。そして、相手が根負けして、もう日本に対して妄言を向けなくなり、まともな対話ができるまで、お人好しで忘れっぽい国民性を乗り越え、世界に発信していくべきだろう。

 「正論」平成17年9月号   論文



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