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 <知を楽しむ人のためのオピニオン誌・「正論」>



11月号



この機に重要案件解決を
会社員・堀 恭子(東京都板橋区・42歳)

 今回の衆院選では、自民・公明党合わせて三分の二超の議席を獲得するという圧倒的な強さを見せました。小泉首相の天才的な戦略・戦術の勝利という見方もありますが、平成八年に日本でも導入された小選挙区制という制度に秘められたパワーが、小泉首相の巧妙な演出によって最大限に引き出されたものと考えられます。

 小選挙区制の先輩である英国では、一九九七年五月の総選挙で野党・労働党が圧勝し、与党・保守党が総崩れとなり、ブレア政権が誕生するという政変がありました。今後は日本でも、英国のように自民党以外に政権担当能力のある政党が育ち、二大政党化が進み、お互いがチェックしあう形で健全で建設的な国家運営が行われることを期待しています。

 今回、自民党候補者の中には、保守党の政治家とは思えないような反日的言動を繰り返す左傾政治家がまじっていて、投票の際には政党単位ではなく人物に目を向けて選ぶ必要があると強く危機感を感じていましたが、民意を問うた結果、自民党が衆院において絶対安定多数という強力な力を手にしたからには、これまで遅々として進まなかった憲法改正、教育基本法改正、国家安全保障の立て直しなど、国家のバックボーンとなる重要案件を矢継ぎ早に解決してもらいたいと願っています。

 また、これまで公明党との協力の中で浮上してきた自民党らしからぬ政策(外国人参政権、人権擁護法案など)については白紙撤回し、現在大きく変化しつつある国際環境の中で国家としてのプレゼンスを失わない方向に、大きく舵を切り直すことが重要課題だと思います。

年金生活者も氷河時代
元会社員・森岡卓眞(広島市・75歳)

「郵政民営化選挙」は自民党が圧勝し小泉首相の続投となった。民主党勝利による政権交代がなかったことは喜ばしいが、そうかといって小泉首相を全面的に信頼するわけではない。「郵政民営化は改革の本丸」というだけで、民営化後の筋道を示さないので、どういう改革をするのかさっぱりわからない。竹中郵政民営化担当相は「解散前にも改革は進んでいる」と言っていたが、年金生活者としては「改革とは負担増」としか受け取れない。介護保険は四倍近く増え、所得税も徴収されるようになって、二、三年前に比べ二十万円以上の負担増となっていて更に増税が云々されている。そのため好きな旅行もできなくなり、ただ家の中でひっそり過ごすだけの生活になった。まさに氷河時代の到来である。

 といっても、国の財政は危機的状況であるから、年金生活者といえども応分の負担はいたし方ないと思うが、日本をどのように再生するのか、小泉首相に確かな国家観がないので何のための負担増か納得し難いものがある。

 度重なる謝罪外交は東京裁判史観にどっぷり漬かった外務官僚の筋書きどおりであり、いわゆる「A級戦犯」を犯罪人という首相にはとても日本の舵取りを任す気にはなれない。中韓の歪曲捏造された歴史観による反日には毅然として反論、対処し、日本国民を平和ボケから覚醒させる首相であれば我慢のし甲斐があるというものであるが、小泉自民党圧勝で後一年はそれを望むべくもない。

国内限定での政治家批判に疑問
無職・村松孝徳(東京都江東区・62歳)

 わが国のジャーナリズムでは、小泉首相の外交姿勢は左翼のみならず保守派からもすこぶる評判が悪い。『正論』も例外でなく、対中・対韓姿勢は土下座外交だとか、八月十五日靖国参拝を避けるのは弱腰だとか非難する論を毎月のように見かける。

 しかしそれは、今の国際政治環境の中で日本国政府に負わされた重ハンディを顧慮しない論と思える。いうまでもなく国際政治の場ではわが国も国内だけでなく世界の状況に対応して外交するほかなく、そして今の世界は第二次大戦によって形成された世界、つまり米英露仏中の連合国を絶対的正義と措定し秩序づけられた世界だ。この中で自国の国益を守り発展させるべく行動するとなれば、わが国政府は対外的妥協と忍従を基本的政策とせざるを得ない。たとえばあの戦争では日本にも十分な正当性があり、連合国にも多くの不正義があって、実質的にあの戦争は帝国主義諸国が太平洋と欧州大陸においての覇権を競った戦争だ、と日本の首相が正面切って表明したらどうなるか。間違いなく米国を含めた世界中から袋叩きになる。

 つまり政治は現実の政治的力関係において規定され、だから政府と小泉首相だけを責め立てても意味がなく、まして小泉首相は歴代総理の中では対外的に良くやっているほうだ。その小泉首相の足を引っ張ってどうなるというのだろう。

 問題は、連合国を絶対的正義としたままの今の世界の情報空間にある。この一方的な風だけが吹いている情報空間に風穴を開け、真実の風が自由に吹きめぐる情報空間を作ろうと努めるのが、わが国ジャーナリズムの取るべき態度のはずだ。今のように国内向けだけで口角泡を飛ばし、政治への……特に小泉首相への悪口雑言を並べて溜飲を下げた気分に浸るとしか見えない態度では、世界の中でどんな効果があるか疑問だ。

中東和平問題について
高校教師・篠原豊太郎(北九州市・25歳)

 イスラエル軍がガザ地区のユダヤ人入植地の強制排除にのりだした。たしかにこれにより中東和平プロセスが一歩前へ進んだ事は間違いないが、根本的な解決とはいいがたい。以前、自爆テロを行った青年の遺書を見る機会があった。そこには「この世には生きる希望は何もない」という趣旨のことが書かれてあった。世界銀行によれば、二〇〇二年現在でパレスチナ自治区の失業率は40%を越す。十二−十四歳の少年の36%は主に貧困などから十八歳までに自爆テロ要員になりたいとも答えている。これらはこの世に絶望し、あの世で幸せになりたいと考えているのである。

 日本政府はこれまでパレスチナに何百億に及ぶ支援を行っているが、本当にかれらに平和をもたらしたいなら、お金でなく仕事を与える事が肝要であろう。人は仕事があると生きる希望がうまれる。仕事を与えるという事は希望を与える事につながるのである。作家の塩野七生さんはトヨタ、ソニーの工場をパレスチナに建設する事を提案していた。なるほど、どうせ巨額の税金を出すのなら、それを補助金にしてそれらの企業の進出を援助してやればよい。企業のほうもそれによって「パレスチナ和平を支える企業」という世界的企業イメージを構築する事ができるだろう。だれもがあきらめかけているパレスチナ和平問題に光を与えることこそ、平和立国日本の役割であり、責任であると考える。

百人斬り訴訟判決を拝見して
稲垣 清(三重県御薗村・95歳)

 支那事変に伴う百人斬りの報道に対する向井、野田両少尉遺族の名誉毀損その他の訴訟の判決が下された。判決文の中で土肥章大裁判長はとんでもない誤認を犯している事を指摘する読者は私一人ではあるまい。即ち彼はその判決文の中で「百人斬りの報道は明白な虚偽と言えぬ」との結論の下で本訴訟を却下されたが、そもそも本訴訟は当時戦意高揚のため、事実無根の手柄話をデッチ上げて天下の公的報道機関である新聞に報道した事に端を発している。その結果、二人の将校の尊い命を奪われ、南京虐殺記念館をはじめ中国全土の記念館にその姿を晒す事となり国辱の表徴の最たるものとして寒心の至りに存ずる次第です。

 当時を知る私共にとっては到底看過し難い案件で、激戦のうち軍勢を帯びていた両少尉がかかる殺人ゲームを実行している余裕など到底なかったはずだ。また多くの読者は本記事が新聞記者の作り話である位の認識は持っていたと信じられます。この点に関する裁判官の認識は甘過ぎる、否むしろ関知せずの感あり、再検討の要ありと進言する。また本記事創作立案者本多勝一記者の言動は二人の遺族をはじめ、私共関係者に対する挑戦的かつ侮辱的言動であると受け止めておる。私は当時京都師団輜重隊、隊付獣医官として従軍し、南京城内には占領後四十五日間駐留し城内から揚子江岸、下関(シャカン)の間を行動し、太平洋戦終戦後は所謂南京虐殺三十万名肯定、否定両派学者の言い分を研究し、私なりの結論を持っている者の一人です。また当時の関係資料は9・5m/mパテーベビー、8m/mダブルエイト、スチール写真、行動日誌等すべて大事に保管しております。求めあらばいつでも出動します。

 以上が私の本判決を拝見しての所見です。今後最高裁における公正なる判決を期待してやみません。

 「正論」平成17年11月号   論文



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