お元気ですか。
だんだん気候がゆるんできました。春が、そこまでやってきています。春といえば、桜。桜といえば、日本。この国に生まれて、ほんとによかった、と思える時節まで、あと、もうすこしです。
『正論』の活版ページは、毎号、テーマ・エッセー特集で始まりますが、四月号のテーマは「私の好きな日本」。参議院議員の山本一太さんはじめ、七人の方が執筆しています。
そのひとり、韓国・京郷新聞東京支局長の朴鎔彩(パク・ヨンチエ)さんが、「普通の人の温い心」という題で、心あたたまる話を書いていますので、一部を紹介したいと思います。
東京が十年ぶりに大雪に見舞われた日の朝、朴さんは、新宿の家を出ました。三十代後半の父親と、小学生の息子が、シャベルとハンマーをもって、除雪作業をしていました。かれらは、自分たちの自宅前だけでなく、近所の家までもきれいにしていました。
「隣のおばさんはね、体調がわるいから、除雪はムリだんだよ」という父親のことばに、息子はうなずいていたそうです。
韓国の公共放送KBSで、しょうとめの嫁自慢、という番組を放送したときのこと。「ウチの嫁は日本人」という、五十代後半のしゅうとめが登場しました。しゅうとめによれば、「なぜ、よりによって日本人なの」と、息子の結婚に反対しました。しかし、韓国に来た日本人の彼女は、とても謙虚で、かれの両親に献身的に仕えました。いま、嫁は息子と日本に住んでいますが、毎朝、電話をくれるそうです。
朴さんは四年前、特派員として来日しました。来て間もない頃、中学生だった息子さんが、自分の不注意で財布をなくしました。外国人登録証、学生証、そして何千円かの現金がはいっていました。
一か月後、ある駅の遺失物拾得センターから、「紛失された財布を保管しています」というハガキが届きました。財布からは、息子さんによれば、「一円たりともなくなっていなかった」そうです。
このような素晴らしい日本人と、こういううれしくなる話を披露してくれた朴さんに感謝し、乾杯したいですね。
「正論」編集長 大島信三
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