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 <知を楽しむ人のためのオピニオン誌・「正論」>


5月号
《イチローの闘争心に感動》
自営業・酒井一輝さん(大阪市西区・34歳)

 毀誉褒貶があったWBCだが、プロ野球の面白さを再認識させてくれたと思う。世界一になった日本チームの場合、イチローの存在感が大きかった。「日本に30年勝てないと思う勝ち方をしたい」とか「勝つべきチームが勝った」などと、他国のチームを挑発するような発言を繰り返し、チームを奮い立たせた。何よりも「日の丸」を背負って戦う男の気持ちや誇りがにじみ出ていた。

 韓国もそうだが、どのチームも国を国旗を背負って戦っているのだ。これまでの日本選手はそういう意識が低いように見えた。イチローはそれを知って、わざとああいう言動を繰り返したのではないか。 「国のために戦う」「日本人の誇りを持って」。他のスポーツでも、日本人選手はこれまで、そんなことをいいにくい雰囲気があったように思う。その“悪習”を初めて破ったのが、サッカーのワールドカップではないか。サッカーのサポーターには「日の丸」が何よりも似合う。

 WBCは、観客動員も世界的には好調だったという。次回は、今年、参加を見送った選手も参加するのではないか。松井や城島が参加した日本チームを見たいのは私だけではないだろう。ぜひ、サッカーのワールドカップのような、本当の意味での国別対抗の世界一決定戦になってほしい。

◇ ◇ ◇

《王采配の妙》
会社員・山口頼和さん(福井市・43歳)

 国際大会で力を発揮できないケースが多かった日本の野球。今回のWBCでも「またか」と思いました。それが、どん底からの世界一。それだけに価値がある優勝だったと思います。今回、多くのナインが口にしていたのは「チームワークの良さ」でした。イチローは「優勝した嬉しさと同時に、このチームと別れなければならない寂しさがある」と言っていたぐらい。この個性豊かなタレント軍団を見事にまとめ上げた王監督の手腕は素晴らしいと思います。

 特にそれを感じたのは、準決勝の韓国戦。不振でスタメン落ちしていた福留をチャンスに代打で起用した采配です。福留は起用に応えて見事にホームランを打ちました。イチローを3番で使ったのも見事に当たりました。あのプレッシャーがかかる場面で、すごい決断力だったと思います。

 王監督といえば、僕たちが子供のころのヒーローでした。でも、巨人の監督時代やホークスの監督の最初のころは、「監督の采配のせいで負けた」と、どれほど言われ続けたことか。それが今や、監督としても「世界一」の座につきました。王ジャパンのWBC優勝は、人気低落気味の日本のプロ野球にも、すごい「活」を入れてくれたと思います。

◇ ◇ ◇

《ファンを見下しているのでは?》
元会社員・柴田英二さん(大分県豊後大野市・65歳)

 市と言っても田舎に住んでいると、野球はTVとなる。その臨場感と興奮をTVに頼ることになる。私は少年の頃から某球団の熱烈なファンだったが、今はすっかり冷め、その分、MLBの魅力に取りつかれている。よくよく相対比較をしたら、日本のプロ野球とそれを支えるTVに反省点も出てくるだろう。ファンを見下しているのではないか?

 プロ野球パシフィック・リーグはペナントレースの最大の真剣勝負を短期決戦のプレーオフにしている。長期にわたる一三六試合は順位が三位以内に入れば優勝決定戦に進める制度にしている。これによって、シーズン終盤での下位チームの消化試合を防ぐことができるし、ファンの動員も増えて相乗効果がでるという目論見であった。実際、プレーオフは盛り上がって成功だったと言う。しかし、同一リーグ内の長いペナントレースで二位を五ゲームも離して優勝お預けでは説明がつかないとみえ、今季は四ゲーム差あればプレーオフ一勝にするという。

 セントラル・リーグも今後の導入に前向きである。算盤勘定しながら、匙加減して、傷をなめあう制度になっていないか? 球界はファンにプロの熱気を感じさせ、プロの技術の高さをアピールし、喜んでもらえるペナントレース争いをする制度にしたのが今の如きプレーオフ制度なのか?

 優れた球団、優れた選手のモチベーションの継続は球界全体のレベルを高めることも球界の発展に欠かせないはずだが、それを支える制度になっているか? 私はそう思っているようなので冷めてしまった。

 プロ野球を支えるTV放送はどうか? 試合の楽しみ方はいろいろあろうが、球場に足を運べない者には、球場に行った雰囲気なり臨場感を味わいながら、勝負の面白さを、中立で見るより、どちらかのチームに加担して応援する方が面白いものだろう。

 TVは各自各様の野球の面白さや楽しみ方をサポートすべき支援者と思うが、内心、自らが最もプロ野球に近く、精通したアナウンサーであり解説者と自負しているのは結構である。しかし、TV放送なのに、まるで、ラジオの実況放送の如くアナウンサー自らが感情移入して野球以外の個人情報を得々としゃべりまくり、映像をみれば判断がつくものまで介入した放送をすることが多い。

 主体者のつもりか、提供してやっていると思ってもいるのか? なるほどさすがというアナウンサーや解説はいまだ少ない。

 TVのアナウンサーや解説者が、自分たちは騒音の垂れ流しをしているのでないか? と実態に気付くことができれば幸いである。

◇ ◇ ◇

《球団格差を是正すべき》
官能SF作家・大西秀明さん(神戸市灘区・45歳)

 プロ野球の人気が低迷しているのは、各球団の戦力と収入の格差が開きすぎていることが原因だ。人気球団が、金さえあれば何をやっても良いとばかりに、強引な手法で人気選手をかき集めてきたことが、プロ野球の人気を低迷させている。

 メジャーリーグは自由競争ではあっても、各球団に制約を課して、球団の格差を一定の枠内に収めようとしている。

 たとえばドラフトは、そのシーズンの最下位球団から指名することになっている。我が国のようなくじ引きではない。いちばん弱いチームから、強い選手を獲得できるようになっているわけだ。

 またテレビの放映料は、すべての中継料を各球団に分配している。特定の人気球団だけが放映料を独占できないようになっているのだ。メジャーではこうして戦力と収入の格差を是正して、公正な競争ができるようにしている。

 我が国においても、プロ野球機構を改革して、一定の制約のもとでの自由競争を目指すべきだ。ドラフトの最下位球団からの指名と、テレビ放映料の均等分配を、早急に取り組んでほしい。

 「正論」平成18年5月号 言ったもん勝ち



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