野球の国別対抗戦に熱くなった人たちは多かったと思う。準決勝の韓国戦、決勝戦のキューバ戦で瞬間視聴率が五〇%を超えた。NHKの紅白でもとれなかった大台をかんたんにクリアした。
国と国の勝負は文句なく人を熱狂させる。三大国別戦といえば夏季五輪、冬季五輪、サッカーW杯であろう。そこにWBCが加わって、また面白くなった。どの競技も三、四年に一度だが、ことしはビッグイベントが三つも重なった。一年の間に冬季五輪、WBC、W杯と続くのは、これが最初にして最後かもしれない。六月から始まるサッカーは、野球におとらない人気を呼ぶであろう。
国別対抗戦で目をみはるのは韓国の躍進ぶりだ。W杯ではベスト4。トリノのメダル数でも日本を圧倒。野球の強さは今回、いやというほど知らされた。韓国はそれぞれの国別対抗戦で国民のアイデンティティーを高め、ますます自信をつけているようだ。
何年か前、著名な韓国人ジャーナリストにズバリ聞いたことがある。「お国の反日感情はどうなったら、やわらぐのですか」と。その人は、「経済力が対等になることです」とすぐに答えた。
今度、再会したときは、「お国のスポーツ力の大幅アップは、反日感情をやわらげるのに役立っていますか」と聞いてみたい。
WBCでは日韓双方に感情むき出しの場面もあった。イチローへ露骨なブーイングもあった。しかしながら、決勝戦を決めた日、「ぜひ、優勝して下さい」とテレビインタビューで語った韓国人女性の表情はさわやかであった。若い女性であったが、そこに勇者の余裕のようなものを感じた。
これからは経済力よりもスポーツ力が民族の興亡に影響する時代が来るだろう。「たかがスポーツ」なんて、冗談にもいってはならない。(大島)
| 「正論」平成18年5月号 |
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