東京都多摩市 無職 土居俊介 70
9月7、8日付「向き合って」で、がんの余命告知の問題が取り上げられていました。私の妻は7年間の肺がんとの共生の結果、力尽きて2年前に逝ってしまいました。
がんとのつきあい方を妻とともに勉強してきた私の結論は、告知は必要だが、余命告知は不要ということです。
今月3日付の読者投稿でも指摘されたように、告知は事実を認め、今後どうするかという生き方の指針だから必要であり、一方、余命宣告は不確実な予測に過ぎないからです。
がんという病気は100人の患者がいれば100の症状があり、100通りの治療法があるはずです。「この程度のがんは統計上、余命は1年」などと医師がいうべきではありません。「あと1年」と言われた患者が5年以上生存した例は多く、逆に数カ月で亡くなる例もたくさん、あります。では、なぜ医師は余命告知をするのか。それは患者や家族が質問するからです。
率直に言って、がんに勝つことはとても難しいことです。が、何とか引き分けに持ち込む術はあります。引き分けとは、がんを持ったまま、なるべく長生きすることです。
(2006/10/11)