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告知に苦しんだ亡き親友

 奈良市 主婦 45

 昨夏、同じ年の親友を膵臓(すいぞう)がんで亡くしました。手術で開腹したものの、手の施しようがなく、たった半年の入院生活でした。

 本人は生きることに前向きでしたが、手術直前に「うまくいかなければ余命3カ月」と告知されました。手術結果を聞いてからの彼女の落ち込みはひどいものでした。「なんで私なん? 神様はひどすぎる…」と泣いていました。告知はしない方がよかったのではないかと考えます。

 20歳で妊娠、出産。重い妊娠中毒症の末に、子供は生まれてすぐ亡くなり、自身も後遺症のてんかんに苦しみました。何年も不妊治療を続けても子供に恵まれず、ご主人の不倫相手が妊娠し、離婚。てんかんの発作で昏倒(こんとう)するので、職もなくしました。

 生活に追われ、具合の悪さを我慢した結果が、末期の膵臓がんです。憲法は「基本的の人権の尊重」をうたいますが、彼女のことを思うと、やるせない気持ちになります。

 唯一の救いは、1度も抱くことのなかったわが子を、天国できっと抱きしめているだろうと思うことだけです。

(2006/10/18)

 
 
 
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