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夫のがんで「夫婦のきずな」強まる

 静岡市 主婦 58

 (5月23日付「がんきっかけに前向きになった夫」の筆者から後日談が届きました)

 夫ががん治療のため入院した。手術当日、「頑張ってね」と声をかけた私に、「頑張るのは先生。おれは寝ているだけ」と相変わらず、減らず口をたたいて、安心させてくれたが、いざ手術室へという段には“粋がりカッコマン”も形無し。顔が引きつり、今生の別れの形相に、私まで不安になった。

 待機室で夫を待つのはもう2度目というベテラン主婦から「私も最初はオロオロして、ふたりで泥沼にはまっちゃったけれど、支える私が、これではいけないと、明るく心がけていたら、2人で笑いあう日常に戻って、主人もすごく楽になったみたいよ」と、アドバイスを頂いた。

 夫が入院したのはがん専門の病院。本人も家族も、深刻な悩みを抱え、もっと暗いものと思いこんでいた私は皆が明るいのに驚いた。

 人間って、結構強くなれるもんだと感心し、病気が人を育てるものだと感じた。

 私もセンチメンタルに酔って、うちひしがれてはいられない。自分の運命を素直に受け入れ、その時、できることを淡々とこなしていこうと開き直ることができた。

 夫も管が毎日1本ずつ外れ、日ごとに回復している。「たいしたことはねえよ」と、もう強がりを言い始めた。

 心の回復はなんとかできた。あとは摂生あるのみ。

 おかげで2人で過ごす時間もたっぷりもらえ、思わぬところで、「夫婦のきずな」も強まった?

(2007/06/27)

 

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