奈良市 木原美智子 71
年金のニュースを見るたび、自営業をしていて平成元年に病死した夫を思い浮かべます。その後、年金の手続きをするために社会保険事務所を訪ねると、「ご主人はお勤めしたことがありますか」と聞かれました。
夫は戦争末期、軍需工場に動員され、戦後もしばらく、その工場で働いていたと聞いていましたので、そのように答えました。その工場はすでになく、私は名前も知りませんでした。ところが、しばらくすると、夫の遺族厚生年金が届きました。おそらく、夫も年金を掛けていたことは知らなかったと思います。
職員の方が、その工場で厚生年金を掛けていたことを調べてくれたのです。社会保険庁で働くすべての方が、あの時の人のように親身になって職務を遂行していれば、特定できないデータ5000万件を残してしまうような不祥事は起きなかったはずです。残念でなりません。
(2007/07/16)