広島県三原市 自営業 64
「脱退手当金」をめぐる連載を読み、40年前の自分を思いだしました。厚生年金に6年間加入していた私は、結婚を機に退職する際、会社から「脱退手当金をもらうか、60歳から年金としてもらうかを選択できる」と聞かされました。
手続きも面倒なので、そのままにしました。ところが、結婚数年後の6人家族の生活のやりくりは、若かった私には大変で、実家にも義母にも夫にも相談できず、脱退手当金を受け取る決心をしました。確か、1万数千円か2万円くらいの金額だったと思います。
社会保険事務所の門をくぐるときの、惨めで泣きたかった気持ちは忘れられません。でも、受付の40歳くらいの女性職員の方から、年金として受け取ることを強く勧められました。
「若いから頑張れば、お金はどうにか回りますよ。もう一度考えて。どうしてもというなら、手続きはとりますよ」
恥ずかしさ、悔しさ…。何ともいえない複雑な気持ちで帰路につきました。手当金は結局、もらわず、60歳のときにもらった「月2万円」の厚生年金の通知は、もったいないくらいの宝物に感じました。
脱退手当金は、制度が不完全だった時代のものだとはいえ、自分で責任をとらなければならないと思います。手当金の書類に印をついたのは、自分自身であったのですから。
(2007/09/17)