産経新聞社

ゆうゆうLife

産後に深刻なトラブル

 奈良県 匿名希望 

 8〜10日付の「産科医不足に挑む」を興味深く読みました。私は今年2月に出産しましたが、その後の経過が悪く、死にかけたからです。

 分娩(ぶんべん)予約の際、大学病院の方が安心とは分かっていたのですが、検診時の待ち時間などを考え、開業医を選択しました。出産までは問題もなく、高齢出産の割にトラブルもなく過ごしましたが、出産後、どんどんおなかが痛くなりました。

 ところが、それを開業医に訴えても「気のせい」「我慢が足りない」と言われ、頻脈、血圧低下が起きても、「貧血だ」と取り合ってもらえませんでした。家族が「ほかの病院へ運んでください」と訴えても、聞く耳を持たないようでした。

 両親が知人の内科医に私の状態を伝えると、「すぐに総合病院へ連れて行きなさい」と言われたものの、開業医は「大丈夫だ」の一点張り。内科医が「このままだと、死にますよ」と開業医に電話して、ようやくほかの病院に運ばれました。

 搬送先では、あまりの状態の悪さに医師も驚いたようです。非常にまれなタイプの産褥(さんじょく)熱だったらしく、医師も「知ってはいたけれど、初めて診た」とおっしゃっていました。「あの病気かも」と思い、大量に抗生物質を投与してくださり、今、ここに生きています。

 今の産院は、なんだかんだとゴージャスになっています。出産は、楽しく明るいもので、誰でもできると、私も思っていました。でも、実際は違いました。

 経験を通して思うのは、産科だけでも、記事にあったようなオープンシステムにできないかということです。周産期センターを作り、産婦人科医を「必ず」8時間勤務で交代させる。パートの医師も認めて、結婚、出産、子育てで去った女性医師を確保する。高待遇の代わりに、高度な知識を要する。

 高齢出産が増え、トラブルも増えていくと思います。それでは「子供は1人でいいわ。もう、こりごり」になってしまいます。私もそうです。政府はもっと真剣に考えてほしいものです。

(2007/10/31)