産経新聞社

ゆうゆうLife

がん患者の介護認定スムーズに

 大阪府柏原市 元ケアマネジャー 岸上裕子 53

 ケアマネジャーをしていて、現在の介護保険の手続きが、がん患者の在宅医療にそぐわない面があると思いました。

 ある末期がんの方は、病院から在宅への移行が決まり、介護保険を申請したのですが、結局、退院後10日で亡くなられ、それから1カ月後に介護保険証が届きました。

 これでは、在宅で療養しようとする人も二の足を踏んでしまいます。患者を退院させる病院が介護保険に詳しくないので、申請のタイミングが遅れることが原因にあるようです。介護認定の程度に影響を与える主治医の先生方の意見書も遅かったり、書き方があいまいだったりします。

 ケアマネジャー側も、病院や医療関係者と日ごろから積極的に接触する必要があるでしょう。私はターミナルの患者さんとかかわる場合、病院の地域医療連携室や訪問看護ステーションの連絡会へも出席しました。

 また、患者さんが入院中の病院にも訪れ、介護保険の情報を提供して、介護保険を認知してもらうようにしました。末期のがん患者さんには時間がありません。そういうケースこそ、われわれ介護職や医療職の連携が試されると思います。

(2008/02/05)