産経新聞社

ゆうゆうLife

「のんびりー」は介護生活の力

 山梨県身延町 主婦 久保田優子 44

 赤羽みちえ先生の「のんびりいこうよ」は、私の介護生活に力を与えてくれました。

 私の母は寝たきりで3年間過ごし、平成18年7月に亡くなりました。結婚後間もなく、母は骨折で入院しました。入院が長引いて無気力になり、話すことも食事もしなくなったので、胃ろうにしたのですが、吐きやすい体質もあり、誤嚥(ごえん)性肺炎を起こし、入退院を繰り返しました。

 介護度は5。在宅介護と家事と仕事は無理なので退職しました。医療度が高いからと、ショートステイ、デイサービス、老人保健施設、そして特別養護老人ホームも断られたのです。父は亡くなっており、介護を手伝ってくれる人はいません。私たち夫婦はともに一人っ子ですが、主人の理解もあり、私の実家に住み、母を介護できたことは感謝しています。

 母の入院中に看護師から、2時間ごとの体位交換、聴診器の使い方、鼻からのたんの吸引、1日12時間の高カロリー点滴のやり方など、必要なことを習いました。

 入院中は毎日病院に通い、退院後はほぼ24時間の介護と家事で肉体的にも精神的にも疲れ果てていました。外出できるのは、経験豊富なヘルパーが週2回来てくれている1時間半の買い物だけで、ストレスもたまる一方でした。

 毎日が自分の醜い心との闘いでした。ただ、訪問看護師とヘルパーがとてもいい方だったので救われました。亡くなる半年前、このままでは母にもストレスを与えるだけだと思ったとき、奇跡的に療養型の病院に入院できました。

 そんな生活で「のんびりいこうよ」を読むと、私だけではないと分かり、前に進む力が出てきたのです。どんなに一生懸命に介護しても、後悔は残ると思います。ただ、自分にできることはしたので、後悔も少なくてすみました。

(2008/04/02)