産経新聞社

ゆうゆうLife

終末期相談支援料の廃止やめて

 兵庫県宝塚市 石井侑 66

 後期高齢者医療制度は「うば捨て山よりひどい制度」というような制度批判が先行し、冷静な論議がなおざりにされている。終末期相談支援料の賛成論もほとんど見られない。

 私の母は95歳で他界したが、70過ぎた長兄が片道小1時間をかけ病院通いをした。母は意識のないまま、腕に点滴、口に人工呼吸器をつけ、1カ月以上「延命」した。亡きがらは骨と皮だけの見るからに哀れな姿であった。

 長兄も延命治療でかわいそうなことをしたと嘆く。私も家族に「延命治療絶対不可」を申し渡してある。安らかに永遠の眠りにつこうとしている老人を、機械的に呼吸させることは命の尊厳というよりも、冒涜(ぼうとく)ではないか。

 人はそれぞれの死生観を持っており、延命治療を望む人はそう意思表明すればよい。「老人に早く死ねというのか」という感情的な言辞で、終末期相談支援料の廃止はしてほしくない。

(2008/06/18)