産経新聞社

ゆうゆうLife

「終末期」には周囲の支え必要

 埼玉県宮代町 ボランティア 前田脩 79

 「リビングウィル 終末期をどう生きるか」を読みました。

 母は98歳。戦争で夫と死別し、私たち3人を育ててくれました。昨年骨折で入院して以来、夜中に徘徊(はいかい)するようになり、介護する家族が疲労感を訴えるようになりました。

 知人は「施設に預けたらどうか」といいますが、そんな余裕はありません。介護サービスを母は「人様の世話になりたくない」と拒みましたが、今は入浴など楽しみにしています。

 しかし、いつ母の状態が変わるか、介護疲れでイライラする自分におびえます。私はボランティアとして他人様の介助をしておりますが、やはり肉親のこととなると、折々の情感に振り回されてしまいます。

 知人が住職をしているお寺に参って、母の行く末を祈念することが心の安定剤になっています。人を看取るというのは大変なこと。そうした周囲の方々の支えが必要なのだと改めて感じています。

(2008/06/24)