産経新聞社

ゆうゆうLife

“持ち込み禁止”に凍り付く

 大阪府堺市 主婦 43

 同居していた73歳の母が一昨年9月、脳出血で倒れ、寝たきりになりました。救急車で運ばれた病院でICU、準ICU、一般病棟、リハビリ病棟を経て、介護病棟へ移りました。書類を見せられ凍り付きました。寝間着やおむつ、タオルに至るまですべてが強制リースで、持ち込みは一切禁止とあったからです。

 母は当時、夫の扶養に入っており、介護費とリース代を含めた負担は月に約17万円と言われました。夫の収入は月30万に満たず、家のローンが月に10万円ありました。ローンと母の入院代で、収入がすべてなくなってしまいます。そこで、世帯分離をして母の年金収入のみにし、入院費を月に約10万円に収めました。しかし、それでも、手元に残るのは5万〜6万円です。

 当時、子供は2歳で、夫とこれでは1年保育にしか入れられないな、と話し合いました。1年2カ月後、自宅近くの病院へ転院する話が持ちかけられました。介護専門の入院病棟で、歩けるだけ節約になると思いました。ところが、説明で寝間着やオムツは持ち込みOKだというのです。できる限り持ち込めば、リース代は5000円ほど。療養費と合わせても6万円でお釣りが来ます。今までの半額です。

 私は身を乗り出し、ぜひとも転院させていただきたいとお願いしました。幸運なことに、2〜3日で転院でき、母は新しいきれいな病院で介護を受け、私たちの生活は少し楽になり、子供も3年保育の幼稚園に入れることができました。

 その母も今年1月に亡くなりました。在宅介護をされている方々に比べれば、苦労はたかがしれています。しかし、金銭的な負担へのストレスはすさまじいものでした。強制リースに関しては、多くの方が苦しんでいらっしゃるのではないでしょうか。

(2008/10/08)