産経新聞社

ゆうゆうLife

備える姿勢は社会人の責務

 東京都世田谷区 無職 南雲正敏 72

 16日付コラム「再雇用のレール」には、多少の違和感を覚えました。コラムは、寮付きの仕事をなくして食事代にも事欠く派遣社員に同情的ですが、なぜそういう事態に陥るのか、突き詰めることが必要ではないでしょうか。

 派遣の仕事は不安定で、常に失職の危険にさらされています。ならばなおのこと、日々わずかでも出費を抑え、蓄えを増やし、将来の不安に備える生活姿勢が要求されます。また、そのような努力をすることが、社会人として果たすべき当然の責務でもあります。

 こうした責務を果たす意志もなく、無計画な生活を送って窮迫しているのか、それとも、本当にわずかな蓄えさえできないほど劣悪な労働条件なのか、実態に応じた改善策が必要です。これなしに、いくら支援を講じても、それは一般社会人の税負担を増やすだけでなく、経済変動のたびに同じ騒動を繰り返すことになります。

 また、「正社員だから貯金できる」ものではありません。雇用が安定し、蓄えの必然性が低い正社員でも、将来起こるであろう危険に備え、人に迷惑をかけないよう日々節約し、貯金しているのです。いわんや、雇用不安定な非正規社員においてをや、と考えるのが常識と思います。

(2009/01/29)