産経新聞社

ゆうゆうLife

寝たきり老人にしないために

 静岡県長泉町 主婦 阿部静子 66

 父は昨年3月、自宅で息を引き取りました。95歳でした。戦争で負傷し右下肢を切断して60年。義足をつけて58年。車いすを利用したのは晩年の2年間だけでした。

 病院にお世話になったのも、左股(こ)関節の手術で入院したくらいで、介護施設に入所することなく、生涯わが家で終われてよかったと思っています。91歳の母も、そうしようと思っています。

 施設では、食べられなくなれば病院へ連れて行きます。病院では静脈栄養や経管栄養が行われ、チューブを抜かないように手を拘束されてしまいます。患者となって、生活様式が急に変わってしまいますので、混乱をきたして認知症が進む。それは大きな問題です。

 老・病・死は必ず訪れます。尊厳とは、苦痛を最小限にして看取ることだと思います。残存機能を失わせず、寝たきり老人にしないためとの思いで、認知症の母と接しております。それは私自身のリハビリテーションにもつながりますので。

 日頃の生活動作がリハビリになることも多いと思います。面倒がらずにやらせることだと実感しております。関節や筋肉を使わせることです。手のかけすぎは禁物です。見守ってやらせております。

(2009/02/18)