産経新聞社

ゆうゆうLife

どう生ききるかを考える

 神奈川県平塚市 主婦 本田幸子 64

 主人が昨年秋、1年5カ月にわたるがんとの闘病後、64年間の生涯を生ききって旅立ちました。最後の10日間をホスピスで過ごし、家族とのふれあいを存分に楽しみ、豊かな時間を過ごせたと思います。

 主人は亡くなる前、「そろそろ命の終わりがくると思う。覚悟しなさい」としっかり言いました。主人の好きな朝日が輝くなかで亡くなったのですが、寸前まで、娘が主人の好きなフラダンスを踊ってみせ、主人も静かに満足そうに見ておりました。

 亡くなった後、家族も手伝って湯灌(ゆかん)をし、数時間かけてお別れの準備をさせていただきました。ホスピスから自宅に向かって出るときも、医師や看護師などスタッフが全員、並んで見送ってくださいました。3カ月後には、ホスピスから励ましの手紙を頂きました。スタッフの心遣いが温かく伝わってきました。

 主人を見送って思うのは、最期までどう生ききるかを、普段から考えておく必要があるということでした。本人が満足した最後を迎えることは、その後を生きる家族にとっても重要なことですから。

(2009/03/23)