産経新聞社

ゆうゆうLife

年金記録に青春の思い出

 神戸市 無職 山口市郎 83

 先日、思わず「えーっ」と大声が出るような電話がありました。社会保険事務所からで、ねんきん特別便に書かれていた約60年余りも前の、昭和24年ごろの年金記録に関する問い合わせでした。

 過ぎ去りし、若き青春の思い出が次々と判明しました。「あなたは進駐軍のベースキャンプで仕事をしたことがありますか」「神戸港の近くです。ちょっと待ってください…」「では、大阪の千日前で仕事をしましたか」。次々と質問を受けました。

 私の“走馬燈”はもう、パニック状態。「えーっ、えーっ、あーっ、そう」。短期間に次々と転職していたときの職歴が、一つの線につながりました。本人の私よりも、社会保険事務所の方が正確で、「よう、そんなに分かりましたな」と、何ともうれしく、ありがたいことでした。

 電話が切れた後も、しばらくの間、懐かしい思い出に浸りました。消えかかった大正生まれの高齢者に、よくぞ問い合わせてくれたものだと思いました。

(2009/04/06)