産経新聞社

ゆうゆうLife

友人の介護を終えて

 大阪府泉大津市 岩下兼光 80

 長年、交際していた友が1月18日に帰らぬ人となりました。私が介護を始めたのは、一昨年10月。友は脳梗塞(こうそく)と認知症のため、自身のことができなくなりました。ひとり住まいなので、食事の世話から炊事、洗濯、掃除、買い物など、介護の難しさを経験しました。

 造園の仕事をしていたせいか、体は丈夫で、90歳と高齢でも、脳梗塞になる前は車に乗っていました。しかし、認知症が出て物忘れが多くなり、耳も遠くなり、足腰も立たず、起きている時間は食事と風呂だけ。寝ている時間が多くなりました。

 今年の正月、孫たちが見舞いに来たときは、こたつの中から手を振って別れました。1月2日昼過ぎ、けいれんが起こって意識がなくなりました。病院で集中治療室に入れられ、面会を制限されたため側に行けず、医師の診断では、頭の血管が破れて意識がなくなったとのことでした。

 高齢で手術は不可能で、体にはチューブや酸素、点滴。ベッドにはモニターがありました。身内も面会は1時間。毎日見舞い、何とか気が付いてくれるよう祈りながら過ごし、足取り重く病院を後にしていました。半月後、夜10時に帰らぬ人となりました。1年2カ月、兄弟以上に介護に集中できました。かけがえのない人を亡くしましたが、妻と2人で余生を生きていきたいと思っています。

(2009/04/10)