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(4)前向きに今を楽しく

 3年前。政治家の国民年金の未納、未加入が次々と発覚。庶民の気分を逆なでしたことが…。

 むろん、私もムッとした。お金があってもなくても、20代のころから、掛け金をずーっと払い続けてきたもので。

 「高額な議員年金のある政治家って、国民年金などは眼中になしね、自分のことばっかしね」と、思ったものだ。

 それにしても、こんなに未納の人ばかりでは、いずれ公的年金制度が崩壊しちゃう。そうなれば、日本は無年金の高齢者だらけ。年をとって、年金もない国になるのねー、と思っていたら、「年金? そんなのすでにないよー」と、こともなげに言う知人がいた。

 御年、70歳。

 むろん、まだ現役。なんやかんやで働いている。聞けば、自分が年をとるまでには、国のシステムも変わって、福祉も充実、高齢者に優しい国になっているはずと信じていたとか。

 だから、年金未加入?

 判断誤ったねえ、というところだけれど、調べてみたら、目下、彼のように65歳以上で無年金の人は、約40万人。

 さらに、加入年数が足りなくて、払っていたとしても、支給される見込みのない60歳未満の人が、同じく約40万人もいるそうだ。

 だったら、約2200万人もの国民年金のみの加入者の年金額って、どのくらい?と思ったら、現在の平均月額は、4万6000円ほど。とくに女性は少なくて、3万〜4万円。老後の生活保障には、とてもとても、である。

 そして、私の場合。ずーっと払い続けてきたんだから、と期待して社会保険庁に聞いてみたら、予定支給額は満額には欠けるが、5万円くらいとか。

 わーおっ、平均値よりは高い。

 が、世間では、私たちは低年金者と呼ばれていることが判明した。

 悠々自適の年金生活、夫婦でハワイ暮らし、などというあでやかな広告をよく見るけれど、非雇用者には、定年もなければ、退職金もなし。老後などない人たちがこの国にはたくさんいる。

 昨日の続きが今日で、今日の続きが明日。区切りなく働いていくわけで、前向きに考えれば、「老後」がなければ「老後の不安」も生じない、ということかしら。

 いえいえ、負け惜しみではなく、人生の幸福は、貯蓄の残高に比例はしない。現実を考えれば、もう覚悟を決め、今を楽しく生きた方が勝ちさ、そんな気もする。

 (ノンフィクションライター 久田恵)

(2007/02/02)

 

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