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勇気づけられた手紙

 どう受けとめられるか心配しつつコラムを書いているので、お手紙を頂くと、勇気づけられる。

 7月28日付「“無職”の介護者」で生計維持と介護の両立が難しいことに触れ、「介護のために失職した人を生活保護で救うより、両立を支援した方が当事者も幸せだし、社会の負担も小さいのでは」と、書いたところ、何通かお手紙を頂いた。

 埼玉県の青果業の女性(67)は母親の介護を振り返る。深夜の介護、朝5時起きの仕入れ、食事介助、配達、店番―。「母を棄(す)てたらどうなるのか。いっそ、母と死のうと思った夜もありました」とし、「収入がないと、生活もできません。あのとき、母の介護と商売で厳しい女一人の人生で、配達や仕入れを手伝ってくださった温かい人の心にあいました。一人では介護できません。人々の支えあってこそです」と書いてこられた。

 中小企業の経理だった大阪府吹田市の女性(84)は母親の介護のために退職を申し出て、社長に「朝ゆっくり来たらいい」と言われた。それも続かなくなり、再び退職を願い出ると、「夕方も早く帰りなさい」。介護度が進み、3度願い出て「出てこられるときに来たら良いがな」と言われたという。

 「このありがたい言葉、今でも忘れられません」。女性は家で夜なべで決算もした。「ざっと1年、社長の深いご理解と、事務所の皆さんの温かい励ましと協力によりまして心残りなく親孝行ができたことはこの上なく、ありがたく存じております」という。

 一人っ子、未婚の息子、娘による介護の時代が迫っている。介護に専念できる者が家に必要な介護保険には限界がある。両立できるサービスと、周囲の協力があってやっと環境は整う。それがトータルで社会保障コストの低い、満足のいく介護になると思う。

 (ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)

(2006/08/11)

 
 
 
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