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不足する助産師 

 横浜市の産科病院で、看護師が妊婦の子宮の状態を見る「内診」を行っていたとして、神奈川県警が強制捜査に入った。

 看護師の内診については、厚生労働省が平成16年に「行ってはならない」と通知。しかし、地方の医療機関や診療所では助産師が足りず、日本産婦人科医会は通知撤回を求めたまま決着していなかった。

 事件後、地方の医療機関や診療所には混乱が広がっている。助産師が集められず、やむにやまれず看護師に内診を頼み、地域の産科医療を支えている医師は現実にいるからだ。

 横浜という都市の病院が、多くの非常勤医を置きながら、助産師は集められなかったのだろうかという気はする。

 ただ、医師をそろえたうえに、さらに助産師を多く置く動機が医療機関にわかない現実もある。食事や個室などのサービスを充実させた方が人気が出る面もあるからだ。

 東京都内の有名産院の院長が、こうこぼしていた。「部屋は清潔ならいい。食事も普通でいい。その分、スタッフを手厚くして、より安全なお産を目指すと、高くなるからお客さんが来ない…」

 産科医療の向上で「お産は安全」という意識が強まった。しかし、出産時の事故で母親が死ぬ確率は、今も交通死亡事故と同じだけある。

 安全性だけでなく、長時間のお産に伴走してくれる助産師の存在は、妊婦にはやはり心強い。助産師外来や病院内助産所の取り組みも、こうしたニーズに応えたもので、医師と助産師が協力して支えてくれるのが理想だ。

 助産師が不足する地方や診療所では医師の指導下で看護師の内診を時限で認めながら、助産師の育成を急ぎたい。そうしないと、医療機関も妊婦も共倒れになりかねない。

(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)

(2006/09/01)

 
 
 
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