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すきまの仕事

 医者に行ったら、看護師さんが待合室で私の隣に高齢の男性を座らせ、「この方、〇〇さん。先に診察なのでよろしく」と言った。

 どうして、見知らぬ患者さんの名字を私に知らせるのだろうと思っていたら、男性が呼ばれた。ところが、男性は耳が遠いらしく気づかない。「呼ばれていますよ」と伝えると、うれしそうに診察室に入っていった。

 私が会計を待っていると、今度はその男性が処置室で呼ばれている。やっぱり男性は気づかない。仕方がないので今度は処置室に案内した。

 精算をしながら、看護師さんは私が案内するのを計算の上だったのだろうかと考えていたら、背後で三度(みたび)男性が呼ばれている。反射的に自分の会計を投げ出して男性を捜し、呼ばれている先に案内した。すっかり付き添い気分である。

 医療に限らないが、だれの仕事か分からない「すき間仕事」は多い。家族が男性に付き添えたり、院内に番号表示があればよかったろうが、そうはいかないこともある。

 医療側に当たりまえにすき間仕事を求めると煩雑になるし、ミスも誘う。とはいえ、医療側も「忙しくて対応できない」と言ってしまうと、ギスギスする。問題は、患者が快適に過ごせるよう、誰が“すき間任務”を提供し合うかだろう。

 最近はボランティアを置く病院もある。患者の案内や子供の相手など、スタッフの手が届かない仕事を受け持っている。

 診療にかかわる情報は個人情報だから、二の足を踏む病院も多いのかもしれない。しかし、仕事以外の人がかかるわると、場の雰囲気はぐっと和らぐ。

 ボランティアが難しければ、ほかの患者に頼むのも手だろう。周囲が声をかけあって少しずつ労力を出し合えば、居心地もいいし、医療のコストも上がらずに済む気がする。

(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)

(2006/09/22)

 
 
 
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