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対応分かれる余命告知

 「余命告知は必要か」と問いかけた9月8日付「向き合って」に、多くの投稿を頂いた。「病名告知」には賛同が多く、「余命告知」では意見が割れた。大学病院などでは今、病名はほぼ告知される。しかし、余命の対応は分かれるようだ。

 先月、東京都内の私立大学病院で開かれた緩和ケアのシンポジウムで、医師同士のこんなやりとりがあった。

 余命告知について問われた外科医が「現状は、なかなかできていない」と答えると、別の医師から要望が出た。

 「余命告知がされないと、患者さんが緩和ケアに拒絶反応を示すことがある。心や痛みのケアが患者さんに受け入れられるためにも、もう少し知らせる方へ移行してほしい」

 知らせないと、受け皿が機能しない。しかし、知らせた後のショックを思うと、受け皿があってもためらう医療現場の迷いが手に取るようだった。

 患者は治療法がないと知らされていなければ、いずれ治療が効果を上げないことにいらだちや怒りを覚え、精神的に追い詰められたり、周囲に不信感を抱く。痛みや心の苦痛に寄り添うことはますます難しくなる…。

 それでも、患者や家族が告知に否定的になるのは、告知の際の無神経さや告知後のフォロー不足に加えて、病名と余命が同時に告知されたりする衝撃と痛みからも来ているようだ。

 がんは今や“治る病気”と言ってもいい。だから、病名と余命の告知が同時に来ることは多くはない。しかし、末期で発見され、告知が同時になることはある。

 ある大学病院の医師は病名と余命が同時に分かるようなケースでも、患者に話す際には時間差を置くといった。

 「告知はこの10年で急速に当たり前になった。しかし、告知は医者の力量が試される瞬間。最近、ますますそう思うようになった」と話していた。

(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)

(2006/10/13)

 
 
 
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