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悩ましい車内の判断

 女友達が、私にこう“告白”した。

 「私、今朝、通勤電車の中で席を譲られたの。妊婦と間違われたらしくって…」。で、彼女はにっこり、「ありがとうございます」と、座ったという。

 思わず笑った。「私、妊娠してません」などと言ったら、満員の車内に居心地の悪さが広がったに違いない。彼女がすんなり座ったことで、相手もきっと終日、いいことをしたと思って過ごせただろう。

 電車内で席を譲るかどうかは、迷う。最近は“高齢者”が若いから、なおさらだ。「どうぞ」と言って、「まだ老人ではない!」と、気分を害されるのは避けたい。

 先日、地下鉄で座ったら、正面に60代後半とおぼしき男性と、夫人らしい女性が立った。迷ったのは、席を譲るには男性が若かったからだ。しかも、現役らしきスーツ姿。結局、脳裏に父(70)がだぶって席を立った。

 しかし、男性はやはり、「そんな、いいですよ」と、困った風。バツの悪い感じが漂ったところで夫人が助け舟を出してくれた。「まあ、この3人の中では、あなたが一番、高齢だから…」。

 男性もそうか、という感じで座ってくれて救われた。

 だいぶ以前に、「ほぼ日刊イトイ新聞」で、「島耕作と、『サザエさん』の波平さんは同じ年頃」と、指摘されていた。週刊「モーニング」に連載中の漫画「常務 島耕作」の主人公は、作者の弘兼憲史さんと同じ59歳。サザエさんの父親、波平さんは54歳だから、現在は島耕作が5歳年上だ。この違いが、サザエさん開始から今に至る老いの変化なのだろう。

 高齢者医療に携わる、とある医師によると、今の77〜78歳の食事や寝起きなどの日常生活の動作は、15年前の65歳に匹敵するという。席を譲るかどうかの判断は、難しくなる一方だ。(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)

(2006/10/20)

 
 
 
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