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たばこ対策の行方

 同僚男性が禁煙外来に通い始めた。ニコチンをパッチで補充しながら、無理なく禁煙につなげる治療で、この4月から保険適用された。

 彼の喫煙歴は日に20本、20年。1日に吸う本数と喫煙年数をかけた数値が400以上で肺がんなどにかかるリスクが高まると聞いて決意した。

 治療を始めたばかりとあって、腕のニコチンパッチはまだ大きい。いつになく不安げな表情で、しきりとタブレットキャンデーを口に入れる。気持ち悪くなるのではないかと思うほどで、指摘したら、「キャンデー外来がほしい」と言う。涙ぐましい努力の背景には、幼い息子の存在もあるのだろう。

 WHO(世界保健機関)が世界禁煙デーを定めたのは、19年前。私が社会人になったのとほぼ同時期だ。当時、職場の床には吸い殻が落ち、スモーカーの中には、誰かが飲みかけた缶コーヒーを灰皿代わりにして、不幸な事件を起こす人も…。

 しかし、たばこを取り巻く環境は急速に厳しくなった。日本の喫煙率は平成16年に成人男性で43%、成人女性で12%。厚生労働省は喫煙率の削減目標を設定しようとしている。

 同じ動きは数年前にもあったが、あえなくついえた。ちょうど、環境ホルモン対策に多額の補助金がついたころで、厚労省のたばこ対策担当者は「環境ホルモンで人が死んだ報告はない。たばこの害ははっきりしているのに、どうしてたばこ対策に、もっと金が落ちないのか」と憤っていた。

 60年以上前の映画「カサブランカ」では、ハンフリー・ボガートのトレンチコートとたばこが印象的だった。彼は実生活でも酒とたばことチェスを愛し、食道がんのため、57歳で亡くなった。

 環境激変のせいか、ドラマや映画の小道具としても、最近、たばこはあまり見かけない。

(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)

(2006/10/27)

 
 
 
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