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国際会議の天使

 締め切りが迫らないと、原稿が書けない。時間があるうちは手がつかないのは、いつか良いアイデアが天啓のように下りることを期待しているからだ。

 同僚は「天使が降りてきて(書いて)くれるのを待っているんです」と言う。していることは同じである。

 「締め切りが迫らないと決着しないのは、原稿も国際会議も同じです」と、1997年に開かれた地球温暖化防止京都会議を取材したとき、ある役人が言っていた。

 この会議は最終日の24時を超え、徹夜で翌朝10時まで続けられた。各国代表団からは「飛行機に乗り遅れる」の声が漏れ、契約時間が切れた通訳が退席する一幕も。

 連日の徹夜で取材する側もヨレヨレで、使った経費は明け方に買った「オニギリ20個」など。ある新聞には、会場のソファに寝つぶれた記者や参加者の写真が掲載され、各社の記者からブーイングが上がった。

 環境の会議が“締め切り”を踏み倒すのは珍しくない。2000年に開かれた地球温暖化防止ハーグ会議も延長戦だったし、1992年にブラジルで開かれた地球サミット(国連環境開発会議)も最終日を前に、会議は朝6時まで続いた。

 ヨレヨレになったが、京都会議では各国が減らす二酸化炭素(CO2)の数値目標が決まった。会議も原稿も結局、天使も天啓もおりてこない。京都会議で成果が出たのは、「ここで決めなければ、手遅れになる」との共通認識で、各国が少しずつ譲ってギリギリと調整したからだろう。

 その京都議定書と親条約の気候変動枠組み条約の締約国会議が17日までケニアで開かれている。「会議場周辺の治安が悪いから」と、会議は毎日、午後6時の定時に終わることになったという。本当にそれで済むのか私はどうしてもシンジラレナイ。(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)

(2006/11/10)

 
 
 
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