同僚女性(34)が、お弁当箱を持って弾む足取りでやってきた。見せてくれたのは、夫(35)お手製の厚焼き卵。料亭でも出せそうな鮮やかな黄色に思わず、目を見張った。薄い層が端正に巻き込まれている。
後で聞いたら、別の同僚も卵焼きを見せられたという。今や美しい卵焼きは十分に、夫自慢のタネなのだ。
先週、東京・大手町で開かれた「子育てフォーラム2006」では、登壇した20代の女性が「お料理上手な男性は、もてる」と明言。会場からは世代ギャップに感嘆の声が上がった。
ほぼ20年前のバブル時代、女性の理想の結婚相手は、身長、収入、学歴が高い「3高」だといわれた。
しかし、当日発表された意識調査(女性が7割、平均年齢21歳)によると、結婚相手に望む3条件は(1)性格が良い(98%)(2)子供を大事にする(97%)(3)家事をする(72%)−。(4)仕事ができる(69%)(5)高収入(44%)(6)見栄え・ルックスが良い(44%)−を抑えた(重複回答)。
私が驚いたのは、(4)が(2)と(3)の後塵(こうじん)を拝したこと。若者は圧倒的に家庭重視なのである。「3高」はもはや死語といえそうだ。
背景には、女性の8割が「子供を持っても働きたい」(同調査)と思っていることがあると、学生らは指摘する。「子供や家庭を大事にする男性とでなければ、両立は難しい」ということなのだろう。
「育児をしない男を、父とは呼ばない。」という厚生労働省のポスターが、評判やら物議やらを醸したのは平成11年だ。
しかし、今や育児休業を取る男性もパラパラと出ている。企業の人事部からは、「うちもそろそろ(そういう男性が出てもいいのでは)…」との、期待ももれる。時代はこんなに急速に変わるのかと感慨にふけったのだった。 (ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)
(2006/11/24)