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ホームレスの年金

 愛知県岡崎市でホームレスの女性(69)が少年グループに襲われて殺された。

 痛ましい事件だが、驚いたのは、女性が月に約7万円の年金を受けていたことだ。7万円は国民年金の満額(月額で約6万6000円)より多い。この世代の女性では、決して少なくない年金額だ。

 会社員として生計を立てていたことがあるか、サラリーマンの夫を失ったか−。生活破(は)綻(たん)者でない、普通の女性が思い浮かぶ。

 しかし、国民年金の満額だけでは、持ち家か貯蓄、あるいは家族か福祉の援助がなければ暮らせないということなのだろう。

 もともと、国民年金は自営業者のための制度。老後も家業の収入がある人を想定している。年金は老後の副収入だ。ところが、今や自営業者よりも、パートやフリーターが多い。老後は年金だけが頼りという人たちだ。立ちゆかない人が出ることは目に見えている。

 昨年、50代の独身女性を取材した。長年務めた先をリストラされ、次の就職先は倒産。やっと見つけた会社では月に15日しか働かせてもらえず、厚生年金に入れないという。老後のため、なんとか厚生年金を継続したいと、「もう数日、働かせてもらえませんか」と頼んだが、だめだった。会社側は厚生年金保険料を節約したいのだ。

 パートやフリーターへの厚生年金適用が検討されている。「老後は年金しかない」という人は、やはり厚生年金でカバーするのだろう。労働時間が短い人も対象にして、それなりに年金額が確保できるようにしないと、暮らせない人が続出する。それでは、結果的にみんなの社会保障負担が増す。

 人生には運も巡り合わせもある。働く場で運がなくても、「働き続けた人は老後も暮らせる」でなければ、社会保障とはいえない。(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)

(2006/12/01)

 
 
 
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