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技術革新の向こう側

 携帯電話の機能向上についていけない。そのくせ、買い替えのときは画素数の多い機種に、ふらふらと引き寄せられる。

 入社したとき、「新聞記者なら、『万が一』に備えてカメラを持て」と言われ、重いのに、一眼レフを持ち歩いた。写真が下手で、省力化したら、しかられそうだったからだ。

 今や紙面に使えるきめ細かな写真が、携帯電話で撮れる。技術革新はすばらしい。

 しかし、先日、若い記者から記事に添える写真の相談を受け、「この写真、どうですか」と、携帯画像を見せられたときには驚いた。驚いたのは、「万が一」でない写真を携帯電話で撮影することを、私が想定していなかったからだろう。

 紙面に耐える写真が撮れるのだから、携帯電話でもいいはずだ。だが、携帯電話で取材対象を写すシーンが、どうしても、頭の中でなじまない。年だろうかと思い悩んだ。

 そうこうしていたら、今度は原稿の試し刷り(大ゲラ)に入れる赤字訂正が携帯メールで送られてきた。びっくりした。これも年かと思い悩み、いや、これは間違いを出しかねないから、怒っていいだろうと判断するまでにしばらくかかった。

 記者になったのは、約20年前。最初の年は原稿用紙にボールペンで書いた。原稿に悩み、何度も何度も書き直す。二重線を引いたり、欄外にはみ出したり、青や赤のボールペンまで使ったら、流麗な原稿を書く上司に、「赤は僕が使うんだ」と怒られた。

 その年、ワープロが導入され、「コピー」と「貼り付け」ができるようになった。上司は「君の原稿は読みやすくなった」と感激し、「(原稿は下手だが)打つのは早い」とほめてくれた。当時は、私も悩ましい若手だったはずなのに、いつ、こちら側に来てしまったのだろうか。(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美) 

(2007/02/02)

 

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