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シングルのゆくえ

 「崩れゆく支え合い−格差時代の社会保障」の連載に多くのお手紙が届いている。

 連載初回では、特別養護老人ホームの風景を描いた。入所の高齢者に約30万円かかり、ケアするスタッフの平均給与が月に約16万円。1人の高齢者を、2人の現役世代が支える25年後も、社会保障は維持できるのか、という疑問を伝えたかった。

 現役は数が減っているだけでなく、社会保障の支え手として脆弱(ぜいじゃく)化している。給与は上がらず、不況の時期に就職期を迎えた30歳前後では、正規社員になるのが難しい。

 30歳の非正規雇用の女性から届いた手紙には、「仕事を辞めた後、1年半にわたる就職活動を続けても、200社超で不採用になり、やっと見つけた仕事は時給1100円の派遣社員。一生、非正規雇用では、結婚や出産の予定も考えられず、将来に光明が見えません」と記されていた。

 晩婚化の背景には、30代の不安定な雇用もあるとされ、単身者はじわじわと増えている。

 しかし、社会保障は依然、「夫と専業主婦の妻」が前提。年金制度も、この「モデル世帯」を軸に設計される。厚生労働省は6日、平成38年度以降の年金の所得代替率(現役の手取り収入に対する年金の比率)を51・6%と発表した。

 しかし、20年後もやはり、モデル世帯が多数派なのだろうか。もっと低いだろう単身の所得代替率を論じなくていいのだろうか。

 社会保障は、自分で「国民年金に入ろう」とか、「組合健保に入ろう」と選べない。だから、制度間は公平で、働き方や世帯構成にも中立であるべきだ。

 非モデル世帯は、今はまだ多数派ではない。しかし、多くのお便りに触れ、この層が確実に増えており、支え合いの不均衡に強く疑念を抱いていることを、感じたのだった。(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)

(2007/02/16)

 

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