だいぶ前だが、厚生労働省の審議会で、ある委員が医療費の自己負担引き上げに反対するのを聞いた。
「××(国名が入る)では、自己負担が5割だそうじゃないですか。5割なんて、2人で保険をするようなものですよ。あまりに自己負担が高い保険は、保険とはいえない!」
自己負担が原則、3割の日本はさしずめ、3人で保険をしているといったところか…。
民間の医療保険は、サラリーマンの自己負担が上がり始めたころから好調だという。最近の流行は、日帰り入院など、短期の入院からカバーし、給付が生涯、続くタイプだろうか。
短期入院をカバーするタイプが増えているのは、商品が医療の動向に合わせて開発されているからだろう。厚生労働省は医療費を減らすため、入院日数の短縮化を打ち出している。平成17年の平均入院日数は一般病床で約20日。ほぼ10年前より13日も短い。
医療技術が上がったのが大きいが、入院日数が延びると、病院側も診療報酬が減って経営にかかわる。都内のある病院の事務職員は「以前は患者さんから『保険が下りるよう、退院を1日延ばしてほしい』なんて言われることもありましたが、もうそんなこと、できる時代ではなくなりました」という。
入院日数に限らず、公的医療制度がこう頻繁に変わるなら、受け皿にする民間医療保険も、生命保険のように定期的に見直した方がいいかもしれない。
来年には75歳以上の公的医療保険がスタートし、「終末期は在宅で」という流れになりそうだ。最期を自宅で迎えられるなら、幸せだろう。でも、それなら、民間保険は入院給付が生涯続くタイプより、在宅療養に手厚い方が役立つかも…。制度変更のたびに新聞広告やチラシを見て、民間保険の給付を足そうかと思い悩むのは、国と保険会社の思うツボなんだろうか。
(ゆうゆうLife編集長 佐藤好美)
(2007/03/23)